今年も航空自衛隊千歳基地で開かれた航空祭を訪れた。道内最大級の航空イベントで、ブルーインパルスがお目当て。曇天模様で曲技飛行は中止されたが、6機が美しい編隊を組み、スモークを出しながら頭上を飛び交う演技は圧巻。記者も夢中でカメラのシャッターを切った。
そのさなか演技が中断する一幕があった。予定にない航空機の飛行があったとのこと。アナウンスで会場内がざわめいたのもつかの間、滑走路からF15戦闘機2機がごう音とともに相次ぎ離陸し、何事もなかったかのように演技が再開された。空自は個別の案件を公表していないが、他国の領空侵犯に備える緊急発進、スクランブルであることが知れた。
千歳勤務だったころに何度か取材したが、待機しているパイロットたちが、警報を受けて戦闘機まで全力疾走し、点検を終えて離陸するまで、わずか数分の早業。この日はデモンストレーションも披露されたが、隊員は緊張感を持って日々の任務に当たっている。われわれ民間人にとっては非日常も、空を守るプロフェッショナルにとっては日常の出来事だ。
ロシアや中国、北朝鮮との緊張感は高まり、わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増すばかり。「本物」も見られ、より理解が深まった。(金)