よく聴いていた曲がテレビやラジオから流れ、歌い手の年齢を調べて驚くことがある。例えばビートルズのジョン・レノンは生きていたら84歳。彼らの高齢は和音をまねてギターを弾いていた中学生や高校生だった自分の老いと重なる。

　母が70～80代の頃、新聞を広げるたびにおくやみ欄を丁寧に見ながら、亡くなった人たちの年齢と自分の年齢を比べていた。年長者が多い時には「私なんかまだまだ」とうれしそうに新聞を閉じていた。そんな話をこの欄に書いた記憶がある。朝夕の新聞を読みながら、自分も同じように比較しているのに気が付く。

　きのうの新聞に、2023年1年間の認知症の行方不明者の届け出数が紹介されていた。1万9039人。前年より330人増え、12年の統計開始から11年連続で最多を更新しているという。80歳以上が1万1224人と圧倒的に多く、70代が6838人。60代以下は977人だった。70代辺りに太い区切りの線があるようだ。注意しなければと緊張する。

　11月のアメリカ大統領選挙関連のニュースが気になる。現職のバイデン氏の81歳に注目が集まる。本人は「最後まで戦う」と不安の打ち消しにやっき。その力みが寂しげに見えるのはなぜなのか。イギリスの新しい首相は61歳だった。（水）