新型コロナが5類に移行してから、間もなく1年を迎える。苫小牧市内の観光入り込み客数や新千歳空港の旅客数など、人の動きを示す各種統計データはV字回復の傾向が顕著だ。コロナ前の日常を順調に取り戻しつつあるようだが、いまだ尾を引く場面にたびたび直面する。
「夜のまち」ではタクシーの稼働台数が目に見えて減った。かつては車両が列をなすように走り、すぐにつかまえられたが、今は車を見つけることすら難儀する。遠くに明かりが見えて、必死で手を上げても、大抵は手前で横取りされる。電話で車両を呼ぼうとしても、時間帯によっては、つながらないこともある。
新千歳空港では地上支援業務(グランドハンドリング)の人材確保が課題となって久しい。コロナ禍で休止していた国際線旅客定期便の再開を取材するたび、航空各社から「新千歳は昼が混雑し、ハンドリングの対応が難しい」「増便したくてもできない」などの声を聞く。
あらゆる業界で直面する人手不足。特にコロナ禍で打撃を受け、一時的でも業況が悪化したり、雇い止めしたりした企業は、慢性的に人員が不足している印象だ。反転攻勢の好機が訪れながら、危機から抜け出せないような構図を、打ち破れるように知恵を絞りたい。(金)