うららかな春日和に気持ちよく吹く風。そして、雨上がりのきらきらした日差しを浴びて吹く風を「光風(こうふう)」と呼ぶのだそうだ。気温20度を超えた先日の札幌は、そんな風がビル街にも吹いた。長かった冬がようやく道を空け、幼い春がやって来たのが分かる。
昨年のこの時期を思い出している。全国唯一の全面的な与野党対決型となった道知事選は、与党勢力が推す現職の鈴木直道氏が169万票を得票して圧勝し、再選を果たした。得票率は実に75・63%と、道政史上初めて7割を超えた。
あれから1年が過ぎた。初当選以来、鈴木道政を5年間取材して感じるのは、アクセルとブレーキを巧みに踏み分ける手法。世論が割れる難問は同時に踏み込む分かりにくさもある。1期目の新型コロナウイルス対策では道独自の「緊急事態宣言」を全国で初めて決断。時には政治生命を賭けた勝負手も打つ。背景には「政治は結果責任。責任は全て私が取る」という政治信条があるのかもしれない。
道庁も新年度に入った。知事は「北海道の力が日本、世界を変えていく」と訴える。千歳に進出したラピダス(東京)の国家プロジェクト始動で、道政の進むべき方向性が変わった。鈴木道政は23日から2期目の折り返しへ向かう。(広)