安治川親方、選手たちと交流 駒大苫小牧高野球部

  • スポーツ, 野球
  • 2023年4月8日

 大相撲元関脇安美錦の安治川親方(44)=本名杉野森竜児、青森県深浦町出身=がこのほど、駒大苫小牧高校野球部にスカウトのため訪問し、選手たちと交流した。雨降る寒空の中、下半身強化に役立つ相撲の基礎動作「四股」を熱心に伝授。「甲子園に出たら必ず観戦に行くからね」と固い約束も交わした。

 親方は1997年1月場所に18歳で初土俵。2000年7月場所で入幕を果たすと、角界屈指の技巧派として東関脇まで昇進。貴乃花、武蔵丸、朝青龍、白鵬ら名だたる歴代横綱から金星を挙げるなど活躍した。三賞を計12度受賞。19年7月場所の40歳まで膝のけがと向き合いながら、歴代最多タイの関取在位117場所と息長く土俵に立ち続けた。

 引退後は年寄安治川を襲名。昨年12月には日本相撲協会から安治川部屋設立の承認を受け独立し、都内に部屋を構え、おいの安櫻(序二段)ら後進育成に尽力している。

 駒大苫野球部の佐々木孝介監督とは共通の知人を介して知り合った。大学野球など他競技から角界に飛び込み活躍する力士がいることを挙げ「相撲も将来の選択肢に入れてもらえたら」と言う。

 夏の甲子園で連覇経験を持つ強豪校の覇気のある練習を間近で見学。四股のレクチャーでは「現役時代は毎日500回が当たり前」「相撲に興味ないか。東京は楽しいぞ」「高校生活はあっという間。頑張れ」と和やかに会話しながら、下半身強化の大切さを説いた。

 昨年秋にエース番号を背負っている大森幌(3年)は「思った以上に四股を踏むのがきつかった。時間を見つけて取り組んでみたい。相撲界のトップで長く活躍されていた方の言葉には重みがあった」と出会いを喜んだ。

 日本が14年ぶりに優勝したワールド・ベースボール・クラシックの話題に触れるなど、野球好きでもある親方。特に「打者と投手の駆け引きは、相撲の立ち合いに似てる。命の削り合いというか、そういった緊迫感がいいね」と言う。

 「厳しい、つらいという相撲界のイメージを変えたい」と部屋独立の思いを口にする。相撲を通じた人間育成、支援者やファンらとの輪を大切にしたいとし「縁あって苫小牧と関係を持つことができた。競技の垣根を越えて、まちを巻き込みながらお互いに盛り上がっていきたい」と笑みをこぼした。

 佐々木監督は「他のスポーツからでも角界で頑張れることが分かった。これを縁に選手たちに相撲にも興味を持ってほしい。今後もいろんな部分で交流を深めていけたら」と期待した。

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