駒大苫小牧高校女子野球部の内野手野呂萌々子(3年)が、来年から本格始動するプロ野球巨人の女子硬式野球クラブ「読売ジャイアンツ女子チーム」への入団が決まった。23日に東京ドームで行われたファンフェスタ内で発表された。小学時代から憧れた夢の球団の一員となり「野球を続けてきてよかった。入っただけで終わりじゃなく、しっかりレギュラーを勝ち取りたい」と意気込みを語った。
本業の遊撃手はもちろん投手としても活躍し、打撃ではクリーンアップやリードオフマンを担ってきた駒大苫の攻守の要。野球を志すきっかけをくれたのは巨人だった。小学校入学間もない春の休日、ふと目に入った同球団のデーゲーム放送にくぎ付けになった。
「かっこいい」。視線の先にいたのは坂本勇人内野手。すぐに父親を近所の公園へと連れ出しキャッチボール、気付けば同公園を拠点に活動する少年野球チームに所属していた。
巨人のファンクラブにも加入し毎年ドームに通った。昨年、女子チーム創設を知り「一員になりたい」と決心。109人が応募したプレー動画送付による1次デジタルセレクション、府中市民球場=東京=で行われた8月の2次選考を見事突破し、入団16人の一人に名を連ねた。「力は出し切れたが、合格通知が来たときは信じられない気持ちだった」とはにかむ。
東京都出身。小学時代は目黒区の不動パイレーツで内野手兼投手、6年時には主将を担い全国大会優勝に導いた。同期には日大三、横浜といった男子野球の名門校に進んだ選手も多かった。中学では女子軟式の関東強豪、三鷹クラブWに所属。そこでチームメートだった藤井華子、柴田涼と共に駒大苫へ進学した。
同校では記念すべき1期生としてチームの礎を築く重要な日々を過ごした。「技術はもちろん素直な心、謙虚さなど人間的な部分で成長できた」。勝つために厳しい意見をぶつけ合ってきた同期とも、最後は心一つになれた。「指導者や仲間の優しさに救われてきた。それがなかったら、巨人に入る自分はいなかった」と尽きない感謝を口にする。
巨人での背番号は25。同期には各種全国大会優勝を経験した神戸弘陵(兵庫)、福井工大福井の主力選手、強豪社会人チームから移籍の熟練者もいる。「こだわらずにどのポジションでも守るつもり」と気を引き締めた。
駒大苫の次代を担う後輩たちには「自分たちでは達成できなかった日本一をかなえてほしい」とエール。巨人入りや高校女子選抜の一員としてイチローさんと対戦した経験を基に、「駒沢からでも大きな舞台に立てる。一つの目標にしてもらえたら」と語った。