認知症行方不明者を早期発見 厚真町 専用アプリ導入検討

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  • 2022年11月24日

 厚真町は、認知症の高齢者が行方不明になった時に情報を共有して捜索する専用アプリの導入を検討している。自治体と一般の協力者が、捜索依頼者から寄せられた行方不明者の情報を、チャット機能や全地球測位システム(GPS)の機能を備えるアプリを活用して共有し、スムーズに連携して早期発見につなげる。町は「町民が安心できる環境を整えていきたい」と話す。

 専用アプリを提供するのは、携帯電話大手のソフトバンク。依頼があった場合、自治体が管理する専用アプリを通じて対象者の写真と顔、体形、服装の特徴、年齢といったあらゆる情報が、あらかじめ登録している捜索協力者に送られる仕組み。自治体と捜索協力者はチャット機能を使い、写真や位置情報などをやりとりしながら効率的に捜索できる。同社によると、道内自治体では十勝管内浦幌町が2020年に導入している。

 導入に向けて町は22日、専用アプリを使って捜索する徘徊(はいかい)模擬訓練を実施。町職員をはじめ、消防署員、福祉施設の職員らが、認知症を患う男性(82)が行方不明になった―との想定で6班に分かれて捜索に当たった。

 職員が持つスマートフォンには、写真や位置情報が随時提供され、30分ほどで男性を見つけることができた。町内の福祉施設に勤務する中島巧さん(48)は「情報共有がしやすいので、参加者が多ければ多いほど見つけ出すまでの時間は早くなるのでは」と好感触を抱いた様子だった。

 町によると、75歳以上の町民は900人ほどで、このうち認知症の疑いがある人は2割ほどとみている。いずれも発見されているが、昨年、一昨年と高齢者が行方不明になった情報も寄せられている。町住民課は「行方不明者を捜索する状況にいつなってもおかしくない。早期発見につなげるためのシステムの構築は、どこの地域にとっても課題だと思う」と導入に前向きな姿勢を示し、「捜索と普段の見守り活動の両方で考えていきたい」と話していた。

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