道学生野球連盟1部の北洋大がこのほど、3年生以下18人で再始動した。長くチームの攻守を支えた4年生が13人抜け、選手層は一気に薄くなった。一方で多く空席となった主力の座をつかもうと、技量向上に励む姿がグラウンド上に広がる。新主将の大沼恒介(3年)=駒大苫小牧高出=は「人数が少ないからこそ、一人一人の成長度は高くなると思う。みんなで頑張っていきたい」と意気込みを語った。
2季連続で主将を務めた成田登夢(4年)=長野松本国際高出=、けがを乗り越え投手陣をけん引してきた後藤晟(同)=同=。頼もしい最上級生たちが去り、チームの台所事情は一気に厳しくなった。
特に投手陣は約半分の6人に減り、後藤と共に先発の一角を担った福田翔大(3年)=駒大苫小牧高出=以外は実戦経験に乏しい。それでも、中継ぎ候補の平将(2年)=千葉東葉高出=、先発投手として期待される身長186センチの右腕藤田和来(1年)=岐阜聖徳学園高出=、184センチの貴重な左腕若松星明(同)=札幌新陽高出=らが「いい球を投げるようになってきた」と大滝敏之監督は言う。
福田は「それぞれに自覚が出てきた」と後輩たちの成長を喜ぶ。自身は体重を10キロ以上増やし、球速の向上を図ろうとしている。「どうなれば東農大(オホーツク)や函館大に負けないかを常に考えている。このオフで、もうひと段階レベルを上げたい」と頼もしい。
野手陣も陣容は大きく変わる。内外野6人いる1年生の出場機会が増えそうだが、日々の練習から意欲的に野球に打ち込む選手ばかり。攻撃面では「足のある選手が多い。それを生かせるようにバントなど細かい部分を詰めてほしい」と大滝監督は期待する。
大沼主将は「経験値の少ない分、いかに練習から1球を大切にするかが大事になる」と説く。自身は2年生から遊撃手で主軸も担うなど、攻守に実績豊富。「人数は少なくはなったが面白いチームになると思う。来年は必ず神宮大会に行きたい」と語った。
―捕手・臼井 さらなる成長目指す
捕手臼井彗暉(3年)が、秋季リーグで初のベストナインに輝いた。「欲しかった賞だが、もらえるとは思っていなかった」と笑顔はじける扇の要は、さらなる成長を目指し奮闘中だ。
秋は打ちに打った。「うまく力が抜けた状態で打席に入れていた」と開幕戦第1節の対道教育大旭川1回戦で、本塁打を含む3安打の猛打賞。その後も好調を維持し、打率4割3分7厘と首位打者に3分差と迫るリーグ2位の率を残した。
春季リーグ2割5分から大きく飛躍し、打てる捕手としての才能を開花させた。リーグ前に新型コロナウイルスの影響で一時離脱。開幕5日前にようやく合流し不安もあったが「その分、力みが抜けたのかも」と言う。
打撃改造も奏功した。米大リーグで今季、ア・リーグ歴代最多を更新する62本塁打を放ったジャッジ(ヤンキース)らを参考に「右足を軸に打つイメージ」を描いてきた。
チームの陣容ががらりと変わる来季は、臼井の活躍が勝敗の鍵を握ると言っても過言ではない。「今回取れなかった首位打者獲得を一つのモチベーションにしたい。ベストナインも春秋連続で選ばれるように、守りの面もよくしていけたら」と語った。