2018年9月に発生した胆振東部地震から4年が経過し、今後の復興への機運を高める「むかわ町復興応援フェスタ」が23日、道の駅「四季の館」で開かれた。震災復興講演会や津波の疑似体験、災害時に役立つ日用品の展示、防災アプリの紹介などを通して、町民が復興や防災について考えた。
震災5年目に入り、来年9月に迎える節目に向けて、民間の活力を導入したプレイベント。町と包括連携協定を結ぶ札幌大学や地元のNPO法人マージュ、町女性連絡協議会でつくる同フェスタ実行委員会が主催した。
震災復興講演会では、「香山リカ」のペンネームで知られる国民健康保険穂別診療所副所長の中塚尚子さんが、「こころの復興」をテーマに講演。都内で精神科医として働いていた頃に病気で家族を亡くした患者を受け持った事例を挙げ、「何年たっても心の中はぐちゃぐちゃだけど、生活を立て直して生きていく、ある種の力強さやしなやかさを見ることができた。私自身も学ぶことが多かった」と振り返った。
町民に向けてはこれまで多くの患者を診てきた経験から、「機会を見つけて、たまには弱音を吐いて」「他人と比べない」「自分のことを信じてあげる」とアドバイス。東日本大震災で両親を失った当時の子どもが教員になったニュースなども引き合いに出しながら、「起きてしまったことは変えられないが、強みにして新しいことにチャレンジするのも一つの道。地震はなかった方がよかったけれど、あの出来事があったからすてきな町になったと思える時が必ず来る」と説いた。
会場には、AR(拡張現実)を使って浸水した状態を体験できるコーナーや地域防災アプリのPRブースを設置。非常食、三角巾、風呂敷など防災に役立つグッズ、民間事業者の給電式車両の展示も行った。
同実行委の岡松諒委員長は「震災から4年がたち、次のステージを目指していく流れがある中で、被災地だからこそ分かる防災を意識したまちづくりについて、今後も楽しく学びながら続けていきたい」と話していた。