「今できること」は 産廃物最終処分場問題考える 安平で環境フォーラム

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  • 2022年9月12日

 環境問題などに詳しい専門家や弁護士らを招いた安平町主催の「あびら環境フォーラム」が10日、町追分公民館で開かれた。基調講演とパネルディスカッションの2部構成で行われ、オンラインを含め約110人が参加。町内で建設計画がある産業廃棄物最終処分場の問題などをめぐって、「今できること」を考えた。

 町内では現在、早来北進地区で民間事業者が産廃物最終処分場の建設を計画し、すでに道の許可を得ている。一方で町や町民は建設に強く反対し、平行線の状態が続いている。

 フォーラムでは、北海道大学大学院農学研究院の桂真也助教が胆振東部地震によって起きた斜面崩壊について解説。「崩壊は緩い勾配の斜面でも発生しており、土砂はかなり遠方まで到達していた。ハザードマップで土砂災害警戒区域になっていない場所でも危険」と指摘した。

 また、上智大学地球環境学研究科の織朱實教授は「今、安平町が抱える地域課題をSDGs(持続可能な開発目標)の視点から解決に結び付けられるかを考える必要がある」と強調。東京経済大学の礒野弥生名誉教授は、震災で産廃物最終処分場の建設予定地が「土砂災害警戒区域」になっていることから「道の許可を撤回させることは不可能ではない」と述べた。

 このほか、町の環境保全アドバイザーの藤原寿和さんが「都道府県が許可を出して、オーバーフローなどのトラブルになっているケースはある」と指摘した。「事業者に訴えられるのでは」との質問が出たが、坂本博之法律事務所(茨城県つくば市)の坂本博之弁護士は「過去に同様のケースはあるが、住民が自分たちのために運動を起こして負ける可能性は低い」と述べた。

 町内では、すでに別の事業者が産廃物最終処分場事業を展開している。町は「これ以上は必要ない」との考えから、今後、これらの事業者が進出してくる規制を厳重にする条例の制定を急ぐほか、災害などで許可取得時と状況が変わったことによる見直し条例の制定を道に要望する考えだ。

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