【オークランド時事】米大リーグは9日、各地で行われ、エンゼルスの大谷はアスレチックス戦に先発投手兼2番指名打者で出場し、6回4安打無失点、5奪三振でメジャー初の10勝目(7敗)を挙げた。1918年のベーブ・ルース(レッドソックス)以来、104年ぶりとなる同一シーズン2桁勝利、2桁本塁打。
打者としては七回に今季25号ソロを放つなど3打数2安打1打点。メジャー通算118本塁打とし、日本選手では松井秀喜の175本に次ぐ歴代単独2位となった。試合は5―1で快勝した。
カブスの鈴木はナショナルズ戦に4番右翼で出て、9号ソロを放つなど5打数3安打1打点。日米通算1000安打とした。レッドソックスの沢村はブレーブス戦で救援し、1回無失点。
―苦戦のチーム支える勝利
ついにレジェンドの記録に肩を並べた。メジャー5年目の今季、初めて開幕投手を務めた。エンゼルスは球団ワーストの14連敗で監督解任もあり、苦しいシーズンとなったが、大谷は快投で何度もチームの連敗を止めた。シーズン序盤には相手に癖を見破られていると感じてフォームを修正するなど、試行錯誤しながら先発陣の中核を担った。
今季の好調について、体調に不安がない点を挙げる。「自分が思っている通りに腕が振れている。体を動かせるかによって制球も変わってくるので、ゾーン、コーナーで勝負する場面が増えている」。制球が安定し、四球も減った。
スライダー、スプリットといった変化球の鋭さは抜群だが「直球の球速が上がっている」とうなずく。特に前半戦では、100マイル(約161キロ)を超える直球が投球の軸だった。
ここまでの5シーズンについて「完全に予定通りということはなかった。けがもあったし、思うようにプレーできないシーズンもあった。ただ、大まかに見ると、いいシーズンが多いと思う」。着実に成長してきた右腕はルースと並び称されるまでの選手になった。
―スーパースターも称賛「100年に1人の選手」
現役最多の通算241勝を誇るアストロズのバーランダーは「大谷の大ファン」と公言している。これまで最優秀選手(MVP)に1度、サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)に2度輝いている39歳の右腕は「一回の表を無失点に抑え、その裏、打席に立つのを今年見た。野球で最高に格好いいことだ」と言い切った。
自身なら今季も大谷をMVPに選ぶ、と語っていた。「彼は米大リーグでトップ10人に入る投手であり、同時にトップ10人に入る打者でもある。彼に票を入れないなどということはできないだろう」
ただ、先発陣に影響が出るのが難しい点。5人が中4日で登板するメジャーのローテーションにあって、打者としてプレーするため登板間隔が長くなる大谷がいると、谷間を埋める投手が必要となる。「そこはマイナス面だろう。だが、こうした議論ができるのは素晴らしいこと」と言った。ハイレベルな二刀流の大谷がいなければ、そもそも議論は起きないからだ。
現役最多で歴代5位の通算686本塁打をマークしているカージナルスのプホルスは、2018年から昨年5月までチームメートだった大谷を「世界で一番才能に恵まれた野球選手。100年に1人の選手」と評した。将来の殿堂入りが確実なスーパースターたちから見ても、大谷は歴史的な存在だ。
【大谷との一問一答】
104年ぶりに同一シーズンで2桁勝利、2桁本塁打を達成した大谷翔平との一問一答は次の通り。
―ルース以来の記録。
光栄なこと。シーズン中に自分の今の数字がどういう印象なのか、あまり分からないものだと思うので、終わった後にどんなシーズンだったか、振り返ることができればいい。
―100年以上なかった。
単純に(投打の)二つやっている人がいなかっただけかなと。それが当たり前になってきたら、もしかしたら普通の数字かもしれないし、単純にやっている人が少ないということかなと思う。
―自己最多の157奪三振に。
最後まで健康で終われるように自己管理をしながら、もっと三振を取れるように頑張りたい。
―イチローの117本塁打を超えた。
タイプ的な違いはあると思うが、そういう選手の記録を超えられて光栄。もっともっと打ちたい。
―大谷、一回に左前打〔10日〕
【オークランド時事】米大リーグは10日、各地で行われ、エンゼルスの大谷はアスレチックス戦に2番指名打者で出場し、一回に左前打を放って4打数1安打、1敬遠四球だった。チームは延長十二回5―4で勝ち、6月以来の3連勝。