第104回全国高校野球選手権大会南北海道大会室蘭支部予選第4日は28日、とましんスタジアム=苫小牧市=でAブロックの2回戦が行われ、第1シードの苫小牧中央は4―3で苫小牧東に競り勝った。
【Aブロック】
▽2回戦
苫小牧東
000002100―3
00010030X―4
苫小牧中央
(東)長谷川、福田―前川
(中)斉藤優―上野
?斉藤優(中)
室蘭栄
00620341―16
1000215 ―9
室蘭清水丘
(八回表1死雨天コールド)
(栄)住吉、小野、今谷、住吉―佐々木
(清)今野、工藤―太田
?阿部、住吉、大野(栄)
?田原(栄)
―斉藤優、仲間を信じて力投
試合前、春の全道ベスト4は忘れて挑むように―と選手たちに呼び掛けた苫中央の渡邊監督は「苦しい戦いだったが、勝ち切れてよかった」と胸をなで下ろした。
守備の強化を図ってきた苫中央。投手の斉藤優は「苦しい展開の中、仲間に助けられた」と振り返る。「真っすぐを狙われていたので変化球を多めに投げた」とカーブの精度に好感触を得たという。
七回には勝ち越しの適時二塁打でチームを勝利に導いた。次戦に向け「球の切れとコントロールを意識して打線を抑えたい。このチームで一試合でも多くプレーできるよう必ず勝ちたい」と意気込みを語った。
―苫東・前川、親子で歩んだ3年
親子で甲子園出場が夢だった。苫東の前川統主将(3年)は、2016年度から同校OBの教諭として野球部を率いる前川護監督の長男。春季道大会4強の苫中央を追い詰めたが、「ピンチやチャンスでもう一つ弱かった」と悔しさをにじませた。
因縁の相手だった。昨夏の大会ではブロック代表決定戦で当たり、延長十三回タイブレークの末0―1で惜敗。前川主将は捕手としてスタメン出場していた。「先輩たちの悔しさは僕たちで晴らす」と今回は中盤に逆転し一時2点をリードするなど、春夏5回の甲子園出場経験を誇る古豪の意地は見せた。
野球を志すきっかけをくれた父と野球がしたい―。苫東進学に迷いはなかった。当初は控えの二塁手だったが、正捕手のけがをきっかけに1年夏からほぼ未経験の捕手へ転向を志願。歴代OBの助言や他校の捕手を手本にしながら、頼もしい扇の要に成長した。
昨年秋に主将に就任。「同期に小学、中学でキャプテンを経験した人が多かった。仲間に支えられながら、きょうまでやってこれた」と熱い3年を振り返る。
「怒られ役になってもふてくされず、素直に聞き入れてチームがよくなるように動いてくれた」と前川護監督。親子で歩む不安はいつも感じていた。「他の選手が関係性を受け入れてくれたおかげ」と尽きない感謝を口にする。
ひとたび自宅へ帰れば父と子。いつも野球談議に花を咲かせた。試合に負けた日は特に意見を出し合った。「本当に幸せでした」。最後に監督の目から涙がこぼれた。