厚真町議会は9日、続開中の定例会で、新たに整備する役場新庁舎と消防庁舎を含むその周辺等整備に関する基本構想・基本計画(素案)に対して、全体のスケジュール見直しを求める決議案を提出した。議員内でも賛否をめぐって議論が白熱し、賛成多数により可決となった。
町が1月下旬に開かれた町議会新庁舎周辺等整備調査検討特別委員会で示した素案は▽新庁舎のほかに、図書館機能がある現行の青少年センター、ギャラリー、児童会館などを集約・複合化した「文化交流施設」を整備する▽消防庁舎も新たに建てる▽現庁舎は歴史的建造物として改修する、といった内容。2022年度から役場新庁舎や周辺エリア一帯などの基本設計を始め、役場新庁舎、消防庁舎に関しては24年度に建設工事を開始し、25年度の竣工(しゅんこう)を目指す。総事業費は66億3500万円をみている。
これらを受けた決議内容は「本事業全体の想定スケジュールにおいて、建設工事の時期はおおむね5年程度に見直すべき」と訴えるもの。主な理由として、胆振東部地震の復旧事業がまだ終わる見通しのない中、「住民感情を考えても時期尚早」ということを挙げた。66億を超える巨額の総額に加え、この他にも解体・整地などで多額の建設関連費用が見込まれる大規模事業とあって、「全町民へのきめ細やかな説明・理解と事業計画の見直しも含めて、再度十分に検討する時間が必要」と訴えた。
決議案の提出議員は「(施設の)建設に反対しているわけではない」と前置きした上で、「人口も少ないので今建っているもので使えるものは使ってほしい。町民から『コンパクトで身の丈に合った庁舎を』との声がある」と要望。別の議員も「震災から3年と6カ月ほどしかたっていないのに、大きな負担になるのでは。もっと多くの町民と話し合いをするなど(素案を固める過程に)余地があるのでは」と述べた。
議論の結果を踏まえて宮坂尚市朗町長は「利用する町民のことも考えると、スピーディーに取り組んでいかなければいけない」とし、議会との意見交換の場を積極的に設け、必要な箇所については修正するほか、議会の納得を得た上で町民にも丁寧に説明することに努め、不安を払拭(ふっしょく)していく考えを示した。不透明となった完成時期も含めて「スケジュール、財源、必要とする施設の規模感などを町民と共有できれば。納得感を最大限まで引き上げる努力をしたい」と話している。