厚真町議会定例会が8日に開会し、宮坂尚市朗町長が2022年度施政方針を述べた。胆振東部地震から4度目の春を迎え、新型コロナウイルスの出現から2年以上がたった今を「大きな転換期」と位置付けており、「震災の復旧・復興にまい進しながらも、次世代の未来創造と持続的発展に向けた町政運営に取り組んでいく」と決意を語った。
震災復旧に関しては、これまでの取り組みで、町や道が管理する道路や河川などの復旧工事を今年度中に完了できる予定。その一方で、新年度予算でも計上している3000ヘクタールを超える森林の再生や、宅地耐震化推進事業として豊沢地区の「ルーラルビレッジ」や新町パークタウン地区の対策工事を継続して行う考えを示した。
また、震災、コロナ禍と続く災禍により傷ついた心のケアやコミュニティーの活性化など「課題は山積みしている」と指摘。「引き続き、地域や個々の事情に寄り添いながら復旧・復興のさらなる加速に努める」と話した。
並行して道で掲げる「ゼロカーボン」(二酸化炭素の実質排出ゼロ)も進める考えで、再生可能エネルギーの地産地消や被災森林の再生、上厚真市街地周辺での防災機能の充実など「先進的なコンセプトを掲げた復興とその先の創生に向けた第一歩としていく」と言葉に力を込めた。以前から構想を練ってきた木質バイオマス発電設備を設置する新町地区で、排熱を利用したイチゴ栽培施設の整備も進める。
宮坂町長は「変革期において支持され、選択されるまちであり続けるため、変化を先取りしていかなければならない。固定概念を打破し、イノベーションや新たな価値の創造に向けて未来への投資、人への投資を怠らない挑戦者として果断にチャレンジしていく」と意気込んだ。
その一方で「一人ひとりの多様な価値観が尊重され、すべての人に居場所と出番があり、寛容で人のぬくもりが感じられる包摂性のある地域社会の実現は普遍的な目標」とし、「町民が幸せや豊かさを実感できるまちづくりに向け、職員一丸となってまい進していく」と述べた。
定例会の会期は16日まで(17日は予備日)。