白老町のポロト湖畔で2020年7月12日にオープンしたアイヌ文化発信の国立施設・民族共生象徴空間(ウポポイ)の来場者数は、今年2月末までに40万人を超えた。国は年間100万人の来場を目標に掲げて開設したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響で伸び悩んだ。
施設を管理運営するアイヌ民族文化財団(札幌市)によると、開業初年の20年度の入場者数は22万2794人、21年度は2月末までに17万8248人となり計40万1042人を数えた。
コロナ禍の中でも開業から3カ月間の入場者は11万人を超え、ほぼ順調な滑り出しを見せたものの、その後、低迷した。21年度は感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令で、昨年6月1~20日と9月の1カ月間、休業を余儀なくされる事態も発生。感染の広がりによる観光需要の冷え込みや、外国人観光客の入国制限のあおりを受け、国の目標人数とはかけ離れた状況が続いた。
今年に入り、オミクロン株の感染者急増という強い逆風に遭い、2月の入場者数は前年同月を2700人余り下回る4159人にとどまった。感染者数の高水準が続く中で今月も伸びず、「昨年3月の1万4442人という数字に届かないのでは」と財団の担当者。今年度は、20年度実績を下回る見通しで「コロナ禍というやむを得ない事情があり、感染拡大が早く落ち着くのを願うばかり」と言う。