白老町のまとめによると、白老港の2021年(1~12月)の取扱貨物量は85万3900トン(速報値)となり、前年より20%落ち込んだ。東日本大震災の復興工事の落ち着きに伴う需要減で、同港から運搬する移出貨物の主力品目「砂利・砂」が大幅に減ったことなどを要因に、11年から10年間続いた100万トン台維持にブレーキがかかった。
前年比で移入は7万9214トン減の40万1089トン(16・4%減)、移出は13万5028トン減(22・9%減)の45万2811トン。移入、移出ともに減り、全体量は前年より21万4242トン減となった。
移出貨物量の落ち込みは、主力品目「砂利・砂」が前年比で約8万トン減の37万8360トンにとどまったことが大きな要因。白老町で産出される砂利・砂は、東日本大震災の復興や東京五輪関連の工事に使われるコンクリート原料、路盤整備の骨材として引き合いが強かったものの、町港湾室は「震災の復興工事はほぼ終わり、五輪関連の工事も無くなったため、需要が減ったのではないか」とみる。また、港湾や海岸整備で使用する消波ブロック、魚礁ブロックなど「窯業品」は4万1469トンと前年比で45%減、コンクリート骨材などに使う割り石の「石材」は2万4437トンと46%も減少。新型コロナウイルス感染拡大で経済活動が低迷し、建設・土木工事の動きが鈍ったことも背景にあるとみられる。
移入貨物では、砂利・砂採掘跡地の埋め戻しに使う「改良土」が27万9170トンにとどまった。移出の「砂利・砂」の減少に伴い、前年を約5万6000トン下回った。一方、製紙で使用する「ライムストーン」は7730トン増の5万1130トン、食品製造で使う「化学工業品」も267トン増の1万4178トンと伸びた。
白老港の取扱貨物量は07年以降、10年を除いて毎年100万トン台をキープ。11年以降は10年連続で維持したものの、昨年は大きく落ち込み、01年(約82万6000トン)の水準に戻った。取扱貨物の「砂利・砂」の需要が再び持ち直すかどうか不透明な状況にあり、町は今後、港の利用促進に向けたポートセールス活動の強化を迫られそうだ。
一方、内航の商船や作業船など総トン数5トン以上の船舶の入港数は、3197隻で前年比596隻減った。内訳では、500トン以上の船が458隻で前年より130隻減。500トン未満は2739隻で466隻減った。