鵡川漁業協同組合と鵡川農業協同組合は、むかわ町内でJR北海道が所有していた日高線・鵡川駅前の旧社宅の無償譲渡を受け、新規就業希望者の住まいとして活用する。現在譲り受けた建物の改修を進めており、4月にも供用を始める予定。町内に漁業、農業の住環境を整えることで労働力の確保につなげる考えだ。
町などによると、JRから無償譲渡された旧社宅は、むかわ町末広にある8棟12戸で、築40年ほどの木造平屋建て。JRは日高線鵡川―様似間が昨春廃線になったことで旧社宅が不要になり、鵡川漁協と鵡川農協は新たな担い手確保に向けて受け皿となる住まいを探していた中、町が橋渡し役を担い、1月下旬にJRから土地と建物を無償で譲り受けた。
鵡川漁協は、3棟4戸を漁業従事者向けの住居として整備する。町内では胆振東部地震で多くの家屋が被災し、住宅不足のため、アパートなどの家賃が高額になっている。そこで今年度当初、独自で住宅整備を検討していたが、新型コロナウイルスの影響による建設資材の高騰などが重なり、新設を見送っていた。
旧社宅は1戸あたり延べ床面積約55平方メートルで、8畳のリビングのほかに2部屋、キッチン、納戸を備え、3万5000円と安価で貸し出す考え。同漁協の小定雅之専務は「これまでは仕事はあるが、住まいがない状況だった。(無償譲渡を受けて)担い手確保の受け皿を整えることができる」と喜び、「入ってきた漁業従事者に(町内で)生活してもらいながら、仕事に励んでもらえたら」と話している。
鵡川農協は、先行して使用している旧社宅1棟2戸を含む5棟8戸を長期滞在の労働者向けに整備する。いずれも現在リフォーム作業を行っており、町が費用の一部を助成している。