道教育委員会など主催の2021年度北海道学校給食コンクールで、白老町の学校給食調理場・しらおい食育防災センターが最優秀賞を獲得した。15日の最終審査で、アイヌ民族の料理を取り入れた給食が高く評価された。献立や調理の担当者は「給食を通じて児童生徒にこれからも地域伝統の食文化を伝えていきたい」と意欲を見せる。
道教委と北海道学校給食会は教育現場での食育活動を推進するため、特色ある給食の献立を各地の給食センターなどから募り、審査するコンクールを13年度から毎年実施している。今年度は「受け継ごう 地域自慢の郷土料理・伝統料理」をテーマに募集。13施設から応募があり、書類選考の1次審査を経て、しらおい食育防災センター、共同調理場を持つ函館市立亀田中学校、桧山管内江差町・上ノ国町学校給食センター、利尻郡学校給食共同調理場(宗谷管内利尻富士町)の4施設が15日の最終審査(2次審査)に臨んだ。
審査はオンライン形式で行われ、各施設の献立・調理担当者が地域の伝統料理を生かした給食について説明。しらおい食育防災センターは、昨年7月12日に小中学校6校に配食した「民族共生象徴空間(ウポポイ)開設1周年記念メニュー」を紹介した。
白老町教育委員会の事業「ふるさと給食」として児童生徒へ提供した同メニューは、いなきびご飯、チェプオハウ(サケの汁物)、ボツボツ(カボチャの混ぜ煮)、ユク(シカ肉)竜田という内容。アイヌ民族の伝統料理や、ゆかりの食材を使用して作った。地域の伝統的食文化を反映し、栄養価も考慮したメニューは審査員から高く評価され、1位の最優秀賞に選ばれた。
初めてコンクールに応募し、最高賞を獲得した同センターの職員らは大喜び。最終審査でプレゼンテーションに当たった栄養教諭で献立担当の谷村真美さん(51)は「さまざまな人の協力があってできたメニュー。給食を通じてまた、白老で受け継がれてきた食文化を子どもたちに伝えていければ」と話した。
谷村さんと共に最終審査に臨んだ調理責任者の樋渡喜代子さん(56)=日総(本社札幌市)社員=は「まさか1位になるなんて驚き。うれしい限りです」と笑顔を見せた。
審査の結果、2位の優秀賞は地域の郷土料理くじら汁を給食にした函館市立亀田中学校が獲得。残り2施設は優良賞となった。