―2021年を振り返って。
「21年末時点の預金等残高は5141億円で前年比195億円の増、貸出金残高は2444億円となり、75億円の増だった。新型コロナウイルス感染症対策により20年中に大きく増加した影響が残っているためで、21年は預貸金とも伸びが鈍化した」
「21年度上期の仮決算をみると、本業のもうけを示すコア業務純益が13億5800万円となり、前年同期を1億8800万円上回った。当期純利益は10億4200万円で、前年同期に比べ400万円の微増にとどまった。当初予想していたよりは良かったが、内容には必ずしも満足していない」
―金融業界の課題は。
「信用金庫業界は、コロナ前から少子高齢化と人口減少、マイナス金利政策に伴う資金運用利回り低下など厳しい状況にあった。信用金庫の場合、地域に密着したきめ細かい対面サービスが強みであり、金融デジタル化に対しては、アナログの良さを維持した上で取り組む必要がある。金融機関以外のフィンテック企業が金融分野に参入し、競争が激化する可能性もある。信用金庫がサイバー空間における空中戦でネット銀行やフィンテック企業に勝つことは難しいが、狭い地域での地上戦で勝ち残ることは十分可能と想定している」
―新型コロナウイルスの影響は。
「コロナ禍の長期化で事業者の業況が悪化し、金融機関では信用コスト(貸倒引当金、貸倒損失)の増加を招くことが懸念されている。当金庫では、20年度決算において比較的影響が大きいと思われる飲食業、宿泊業向けの貸し出しを対象に、貸倒引当金を積み増すこととした。経営の健全性を維持しつつ、中長期的な視野に立って事業者を支援する体制が強化されたと考えている」
―22年の展望、長期的な戦略は。
「重点施策として、取引先支援力の強化、人材の確保・育成、収益力の強化に取り組みたい。地域経済に貢献するため、毎期一定の利益を計上し、内部留保の積み上げが大前提となる。貸出量の増加や貸出金利回りの適正化、経費削減などを進める。信用金庫はフェーストゥーフェースをモットーとしており、対面の営業を継続しながら、補完するものとして非接触・非対面取引ツールの拡充を図りたい」
メモ
1948年9月に設立。地域金融機関として親しまれ、デジタル化対応としてウェブ完結型個人ローンを導入。結婚相談所などのサービスも提供している。