(4) 物流機能高度化に貢献 旅客回復へ感染動向注視 苫小牧港開発 関根 久修社長(59)

  • 企業トップに聞く2022, 特集
  • 2022年1月10日

  ―昨年はどんな年だったか。

   「2020年に続いてコロナ禍の年となり、全体的に先行き不透明感が強い年だった。自社の大きな役割であるフェリーターミナルの安定的な運営に取り組んだ。トラック・シャシーなど物流面は底堅く推移したが、フェリーの旅客の戻りが遅い。不動産事業は、物流拠点の集約化を進めたいニーズがあり、昨年10月に分譲を開始したウトナイ地区の住宅用地で引き合いが強く、堅調な動きとなった」

   ―業界の現状と課題は。

   「フェリーの旅客は、コロナ前の19年と比べると6割減少している。ウィズコロナ、アフターコロナを見据え、行政機関やフェリー各社と連携し、学習旅行需要の掘り起こしやPR活動などに取り組みたい。不動産部門は一部賃貸用地の面積を縮小したいとの動きがあるが、大きな広がりは見せていない。オミクロン株を含め、コロナ禍の今後の動向次第で旅行需要の回復の遅れや企業行動へのマイナスの影響が強まることも考えられる。緊張感を持って見ていく必要がある」

   ―カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ、CN)への考え方は。

   「政府の50年CN実現、苫小牧市のゼロカーボンシティ宣言に見られる通り、地域の企業として取り組みが必須の課題と思っている。どのような役割が果たせるのか、地域の関係者と協議したい。自社では、22年度から24年度の中期経営計画の策定に向け、若手中心の検討会を組織した。SDGs(持続可能な開発目標)の観点を含め、今後の重点領域を検討しているところだ」

   ―今年の展望は。

   「期待を込めて、ワクチン接種や治療薬の実用化などの進展でコロナ禍が落ち着き、経済活動が徐々に回復していくのではないか。一本松町で取得した産業用地を造成して今年の秋以降、分譲、賃貸を開始して、苫小牧の物流機能の高度化に貢献していく」

   ―苫小牧港にフェリーが就航して50年を迎える。

   「1972年に『しれとこ丸』が入港し、これまで約11万隻のフェリー、約3000万人の旅客、約2500万台の車両を受け入れてきた。本道の人と物の出入口として大切な機能を果たしている。50周年の節目の年なので、周年行事を考えている。フェリーの快適性や利便性を伝える機会としたい」

  メモ

   苫小牧西港フェリーターミナルの運営、市東部を中心に不動産事業などを展開。1958年8月に設立。73年9月、本店を東京から苫小牧に移転した。

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