政府が24日に閣議決定した2022年度予算案で、アイヌ政策関係予算は58億5900万円となり、21年度当初予算比で2%増となった。白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)関連では、博物館や公園の管理運営費などで2%増の31億200万円を計上。アイヌ施策推進法に基づく「アイヌ政策推進交付金」は2%増の20億5300万円を計上し、アイヌ文化の伝承活動など地域の取り組みを支援する。
政府予算案は国土交通省、文部科学省、内閣府など各省が22年度予算案に盛った関連事業の総額。アイヌ民族文化財団(本部札幌)が運営を担うウポポイ関連では、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園、慰霊施設の管理運営費として30億9600万円を計上した。また、慰霊施設関連で、アイヌ民族の遺骨返還に向けた手続き支援の費用など600万円を盛った。
アイヌ政策推進交付金は各種事業費で20億5000万円、関連事務費で300万円を計上した。交付金は、アイヌ施策推進地域計画を策定した市町村の申請に基づき、伝統文化の復興や保存、地域振興策の費用を支援する制度。白老町は19年度から今年度にかけて、地元アイヌ文化の発信や小中学校での体験学習など各種事業に交付金を活用した。今年度は、儀式など伝統文化の伝承活動も可能な多機能型生活館の整備事業にも利用し、22年度も事業費確保へ申請手続きを取る方針だ。
生活向上の関連事業では今年度当初比2%減の3億5300万円を計上。修学支援(高校生や大学生などへの奨学金補助)で6800万円、雇用と生活の安定(就職相談や生活館運営補助)で9200万円、農林漁業の振興(経営近代化施設の整備補助)で1億8100万円、中小企業の産業振興(アイヌ工芸品の展示会や研修会の開催費補助)で700万円、生活安定(生活相談事業)で600万円などを盛り込んだ。
この他、アイヌ文化の振興・普及啓発の事業費として、アイヌ民族文化財団への補助金3億900万円、消滅危機にあるアイヌ語の記録保存や調査研究に2000万円を計上。国のアイヌ政策推進会議の開催費などで1600万円、アイヌ民族への偏見や差別を解消し、文化や歴史への国民理解を促す啓発事業費として、今年度当初比で62%増の600万円を盛った。