19日、米大リーグの最優秀選手(MVP)に輝いたエンゼルスの大谷翔平。1位票が満票。二刀流が圧倒的な支持を受け、大谷がMVPに輝いた。投票を託された全米野球記者協会の記者30人の多くが、大谷を1位とすることに「迷いがなかった」と明かした。
所属チームの成績よりも、各選手の貢献度が重視されたようだ。シアトル・タイムズ紙のライアン・ディビッシュ記者は「大谷よりもチームに多くをもたらした選手はいない」。大リーグの専門サイトが打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価する選手指標の数値も、判断基準となった。
大谷は打者として46本塁打、100打点、26盗塁。投手としては9勝を挙げた。米大リーグ公式サイト「MLB●【9d74】com」のアダム・ベリー記者は「歴史的な二刀流でも、投打ともに平凡ならば価値はない。投打を高いレベルでこなしたことが、他選手より際立った要因だった」と話す。
得票2位のゲレロ(ブルージェイズ)は本塁打王を獲得し、例年ならば受賞に値する成績。ダラス・モーニング・ニューズ紙のエバン・グラント記者は「MVP級のシーズンだったゲレロと、殿堂級のシーズンだった大谷という違いがあった」。ベーブ・ルース以来となる二刀流の活躍に、歴史的な価値を見いだしていた。
代名詞の「二刀流」は存続の危機にあった。2018年オフに右肘の手術を受けたエンゼルスの大谷は、翌年は打者に専念。20年に投手として復帰を果たしたものの、登板は2試合にとどまり、打率も1割台と成績は低迷した。
今年の春季キャンプ中、マドン監督やミナシアンGMは大谷に対し、原則として登板前日や翌日に設けていた休養日を廃止することを提案したという。今となっては二刀流を大成功に導いた英断として前向きに捉えられているが、当の大谷は「ある程度形にならなかったら、この先(二刀流の継続を)考える必要があるというニュアンスかな」とも感じた。
大谷が何度も経験したように、成績を落とせば二刀流に対しての懐疑的な声が上がる。打者で46本塁打、投手で9勝を挙げ、MVPに選ばれても大谷が感慨に浸る様子はない。「このパフォーマンスをどれだけ続けられるのかは誰にも分からない。毎年そういうチャレンジの年が続くと思っている」。受賞後の電話会見も、普段と変わらぬ淡々とした口調で応じた。
「一番の選手になりたい」という壮大な目標を掲げて海を渡り、メジャー4年目で選手個人にとって最高の栄誉に輝いた。世界一レベルが高い大リーグでのMVPは「一番の選手」の証しと言えるが、大谷は「自分でそう思う日はおそらく来ない。アバウトな目標だけど、ゴールがない分、常に頑張れるんじゃないかと思う」。
ベーブ・ルースでさえ本格的に投打両方でプレーしたのは2シーズンだけ。大谷はメジャー5年目の来季も二刀流で「一番の選手」を目指す。
メジャーリーグ・ベースボール(MLB)ジャパンは19日、今季のア・リーグ最優秀選手(MVP)を受賞したエンゼルスの大谷翔平選手が、二つのギネス世界記録に認定されたと発表した。
一つは、7月のオールスター戦で投手と指名打者で先発出場した初めての選手として。さらに、1シーズンで投手として100投球回と100奪三振、打者で100安打、100打点、100得点以上を記録した初の選手として認定された。投打5部門での偉業は「クインティプル100」と呼ばれ、たたえられた。