公益財団法人イオン環境財団と厚真町による「2021年度厚真町さくら植樹会」が13日、3年前の胆振東部地震で大きな被害があった町内吉野地区の被災現場で開かれた。参加したイオン職員や町職員、地元関係者らがエゾヤマザクラ、ヤエザクラ合わせて30本を復興への思いを込めて手植えした。
同地区の山は震災前までエゾヤマザクラが点在。地区名は桜の名所でもある「吉野山」(奈良県)に由来したと言われ、「吉野桜」として親しまれてきた。植樹に先立ちあいさつした宮坂尚市朗町長は「教育発祥の地、サクラがきれいな場所で先人の皆さまが誇りにし、こよなく愛してきた地だったが、地震(の土砂崩れ)により一瞬にして19人が命を落としてしまった。遺族の思いもあってこの地の緑地、景観づくりに努めている」と説明した。
参加者は30分ほどかけて、やや傾斜になっている場所にサクラの木を一本一本丁寧に植えていった。同財団の山本百合子専務理事は「地域の方たちと一緒に活動していくのが(同団体の)特徴。地域の皆さんの心豊かになる場所になればとの思いを込めて植えたい」と語り、今後も継続して植樹を行う予定。
吉野地区の代表として参加した早坂信一さん(56)は「こうして皆さんに支援していただいて本当にありがたい。(吉野地区を)気に掛けて足を運んでくれる人がちょっとずつでも変化があることを感じて、気持ちを和ませてくれたら」と話していた。
同財団は日本をはじめ、中国やマレーシアなど国内外で植樹活動を展開。これまで近隣では12~14年にむかわ町、15~17年には厚真町高丘地区のゴルフ場跡地に植樹を行っている。