「アテルイ」は、奈良時代後期から平安時代にかけて現在の東北地方に暮らしていたエミシの長(おさ)だ。幼い頃母を亡くし、父に疎まれ村から逃げ出す。
たどり着いた村で出会った巫女(みこ)の家族に救われたアテルイは、10歳になる頃には弓の名手となっていた。ある日、狩りでキジをしとめた際に都の子ども(のちの坂上田村麻呂)と出会う。
時は流れ、朝廷のエミシ征伐によって、征夷大将軍となった坂上田村麻呂と再会する。村を守るために戦うアテルイ。だが、リーダーとして悩む。何のために戦うのか…。
史実を基に、敵対する2人の信頼関係も描かれ、もっと時代背景を知りたくなる。歴史好きの子も、そうでない子も、一人の人間としての生き方に多くを学べる一冊である。
(くもん出版 税込み1650円)
苫小牧市立泉野小学校 田中珠江