「最後に優勝できて良かった」 王子守護神GK マッキンタイア引退

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2021年3月27日
王子に2季所属して活躍したマッキンタイア。ドリューの呼称でメンバー、ファンから慕われた
王子に2季所属して活躍したマッキンタイア。ドリューの呼称でメンバー、ファンから慕われた
安定した守りでジャパンカップ制覇に貢献した=昨年12月6日、白鳥王子アイスアリーナ
安定した守りでジャパンカップ制覇に貢献した=昨年12月6日、白鳥王子アイスアリーナ

 

 アイスホッケーアジアリーグの王子イーグルスで2季プレーしたカナダ出身のGKドリュー・マッキンタイア(37)が、今季限りで現役から退く。5歳からGK一筋でプレーし、世界最高峰の北米アイスホッケーリーグ(NHL)も経験した実力者。「最後のシーズンを優勝で終わることができて良かった。支えてくれたみなさんに感謝している」と晴れやかな表情を見せた。

 引退は数年前から考えていた。一番の理由は母国に暮らす妻と2人の娘の存在。2016年に単身北米を離れ、ドイツやスロバキアなど欧州リーグでプレーした後、18年からは選手キャリアの舞台を日本に移していた。

 「一人の父親として家族のそばにいたい」。昨季で現役生活にピリオドを打つつもりだったが、娘たちから「もう1年プレーしてほしい」との言葉や、昨年2月に韓国で行われたアジアリーグプレーオフ後に菅原宣宏監督から「来季も一緒にやろう」と声を掛けられたことで再び奮起した。

 長編小説「赤毛のアン」の舞台として有名なプリンスエドワード島のシャーロットタウン市生まれ。父やいとこら親戚もGKだったため、物心ついた頃から「キーパーになりたかった」。

 カナダの18歳以下代表に選ばれた後、03年にNHL3部相当のイーストコースト・リーグ(ECHL)でプロデビュー。07年にはNHLバンクーバー・カナックスで2試合に出場した。バッファロー・セイバーズ、トロント・メープルリーフスでも数試合ゴールを守り、主力定着こそかなわなかったが、「毎試合満員のアリーナで試合をし、どこに行っても顔が知られる存在になる。自分は遅咲きだが、諦めずに頑張り続けNHLでプレーできたことは誇り」と胸を張る。

 王子の一員となった19~20シーズンはアジアリーグで最優秀セーブ率GKとベストGKの2部門を受賞。今季は新型コロナの影響でチーム合流が大幅に遅れ「とてもタフなシーズンだった」と振り返ったが、14試合でセーブ率9割以上と変わらず安定感を誇った。

 王子は今年4月からクラブ化し「レッドイーグルス北海道」として新たな一歩を踏み出す。「これからも勝ち続けるチームであってほしいし、もっと良くなる可能性も持っている」と期待する。同じGKの成澤優太(33)、小野田拓人(28)、磯部裕次郎(23)には「自分の持っているものはすべて伝えた。あとは自分の力を信じてプレーするだけ」と背中を押した。

 27、28両日の横浜グリッツ戦後の29日に帰国する。個人で開講しているGKスクールに注力しながら、「競技に関わり続けたい」と言う。菅原監督は「技術も人間性もすべてがプロフェッショナル。寂しさはあるが、彼の意志はチームに残り続けるはず。まずは家族とゆっくり過ごしてほしい」とねぎらった。

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