ワンツー決めた苫小牧勢―道路建設初の2冠、トヨタ準V糧に来季へ 〔全日本女子IH選手権総括〕

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2021年3月18日
決勝〔道路建設ペリグリン―トヨタシグナス〕好セーブを見せた道路建設のGK増原(右)=14日、札幌市月寒体育館

 第40回全日本女子アイスホッケー選手権大会(日本アイスホッケー連盟主催)は11~14の4日間、札幌市月寒体育館で開かれた。決勝は苫小牧勢対決となり、道路建設ペリグリンが7年ぶり進出のトヨタシグナスを3―2でかわし、2通算20回目の栄冠を連覇で飾った。両チームの戦いを振り返る。

 (石井翔太)

 道路建設はAプール予選トーナメント2位通過で決勝トーナメントに進出。準決勝では第37回大会覇者のSEIBUプリンセスラビッツ(東京)を3―2で下し、決勝ではトヨタシグナスにペナルティーショット(PS)戦に及んだ激闘を制した。

 決勝トーナメントでは駆け引きに満ち、スタミナを削り合ったぎりぎりの勝負をベテランから若手に至る選手層の厚さで乗り切った。中でも最優秀選手賞に輝いたFW早川愛珠(17)は準決勝と決勝の重要局面で決定力を見せた。早川は「パックを持ったときにミスを恐れずにゴールに向かう積極性が身に付いた」と手応えを語った。

 正GKを務める増原海夕(19)はベスト6のGKに選出された。準決勝のSEIBU戦では3回のキルプレーをしのぎ切り、道路建設が打ったシュート17本の2倍近い33本を阻んだ。

 決勝では今季初のPS戦に臨んだが、落ち着いたセービングで優勝を決めた。このところ身に付いた堂々としたプレーには極めて安定感があった。「失点しても気持ちを切り替えて立て直せるようになった」と自信に満ちていた。

 Aプール予選1位で決勝トーナメントに進撃したトヨタはわずかの差でかわされた。先月閉幕の今季日本リーグ初優勝で勢いに乗る道路建設と予選では真っ向勝負して金星。決勝も2ピリまで2―0とリードしたが、勝負の妙味が詰まった残り3分の攻防中に立て続けの失点。この壁を乗り越えて来季の躍進を目指したい。

 収穫は多かった。日本リーグでは反則で一人少ないキルプレーでの失点でリズムに乗れない場面が目立ったが、精神面の成長が反則を減らした。今隆之監督は「全日本では反則が少なかった印象。エゴを捨てたプレーができるようになってきていてメンタル面の成長を感じた」と評価する。

 決勝終了後にFW藤本もえこ主将(28)は「トヨタの守りが上位チームに通用することを実感できた。この悔しさを決して忘れることなくレベルアップしたチームで来年こそ優勝したい」と語った。

 今大会は苫小牧勢両チームと3位SEIBUと4位Daishin(釧路)が波乱なく上位陣を形成。接戦が多発し、それぞれに決定力が求められたパワープレー時の課題が散見したものの、総じて高レベルの戦いを展開した。言うまでもなく各チームには世界選手権トップグループや北京五輪に挑戦する代表の候補者が多数いる。現状の4強が先導役となってしのぎを削り合い、女子アイスホッケーのこれからの時代を切り開いていくことに期待していきたい。

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