きょうから師走。クリスマスや忘年会、年末には帰省した家族連れらでまちがにぎわう時期だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛などの影響で動きは鈍い。苫小牧市内では流行再拡大で飲食業界に深刻な影響が出ているほか、市民の出控え傾向も強まるなどいつもとは違った年の瀬を迎えている。
市内の飲食店は11月以降、客足の落ち込みとともに忘新年会の予約が激減している。
屋台が軒を連ねる市内中心部の錦町横丁も情勢は厳しく、ワイン酒場ケセラ=錦町=の星澤誠二郎店主(51)は「何とか常連客に助けられている」と話す。 izakaya草=大町=は忘年会の予約が例年の1割以下で、テークアウトの年末オードブルも昨年の約半数。「売り上げ落ち込み分をカバーできれば」と期待を寄せる。
老舗の第一洋食店=同=は11月下旬から客足が落ちているといい、山下明店主(73)は「ワクチン開発など明るいニュースが出てくれば徐々に戻るのでは」と語った。
普段は家族連れや団体客で混み合うバイキングレストランイートアップ苫小牧本店=柳町=も11月は売り上げが例年の半分。田中等代表(53)は「年末年始の里帰りの団体客もどうなるか分からない。店や従業員を守るため、この困難を何とか乗り越えなければ」と話すが、打開策は見えない。
市内4店舗を経営するラーメン店「味の大王」は売り上げ確保に向けて、テークアウト商品を開発中で、総本店常務の中江友紀さん(37)は「できる努力は惜しまない」と前向きに難局を乗り切る考え。
年末年始の帰省を見送る動きも出始めている。
宮前町の看護師大森亮子さん(43)は毎年、実家のある静岡か釧路に家族で帰省していたが、高齢の親に感染させるリスクを考え、今年は取りやめた。ウトナイ北の会社員板井勝弘さん(46)も同じ理由で実家の釧路には行かないといい、「親の顔を見たいし、親も孫の顔を見たがっていた。寂しいです」と肩を落とす。
緑町在住の無職、宮本二男さん(76)は「この時期だと相手も困るから」と、札幌や室蘭の親戚宅への訪問を中止。感染急拡大の動きに「持病があるので万が一の時に入院できないのでは、と不安になる」と述べ、趣味のボウリングなどを自粛。買い物も必要最低限にとどめている。
もえぎ町に住む苫小牧駒沢大学4年の高橋和花奈さん(22)も岩手県の実家への帰省を見送るつもり。前回の帰省はお盆の時期で「両親からは『正月は帰ってきてほしかった』と言われたが、空港は混雑するし感染も怖い。本当は帰りたいけれど、仕方がない」と残念そうに話した。