新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、20日の新規感染者が300人を超え最多となった北海道。鈴木直道知事は札幌との往来自粛に加え、21日からの3連休は慎重な行動を取るよう呼び掛けた。新千歳空港や旅行会社、苫小牧市と近郊の観光地には往来自粛の影響が見え始め、商業施設も書き入れ時の客足減少に落胆の色を隠せない。
新千歳空港では「Go To トラベル」事業の後押しもあり、徐々に航空需要が回復しつつあったが、「この数日で予約の勢いが鈍化し、キャンセルも出始めた」と航空会社関係者は肩を落とす。
連休初日の21日、国内線ビル内は、キャリーケースを引く姿が目立つものの、利用者はやや少ない印象。土産物店の女性スタッフは「Go Toのクーポンを利用する人が減ってきた。行き交う人も少なく、旅行控えが始まっているのでは」と表情を曇らせる。
近畿日本ツーリスト苫小牧支店にはこの数日でキャンセルが数件あった。同支店は道内旅行を多く取り扱っており、北海道の感染者急増が理由とみられる。担当者は「不安なためご自身の判断でキャンセルされたのだろう。冬休みや年末年始に旅行できるよう、年末までに収まってほしい」と願う。
安平町の道の駅「あびらD51(デゴイチ)ステーション」でも、21日午前の人出はまばら。あびら観光協会によると、先週の土曜日は1650人、日曜日は2100人の利用者があった。担当者は「きょうは1000人いかないのではないか」と予想し、「コロナ感染者の急増で外出自粛の空気を感じる」と話した。
苫小牧市植苗の道の駅ウトナイ湖も休日2500~3000人が訪れるが、西村宏基駅長は「土日祝日の来店客の半数は札幌と近郊の方。3連休は大きく減るのではないか」と懸念する。
◇ ◇
市内柳町の大型商業施設イオンモール苫小牧でも、新型コロナへの警戒からか客足が鈍い連休のスタートとなった。松川陽一モールマネージャーは「これまでの連休と比べても確実にお客さんが減っている。特に広域の移動を避けるため、市外からの来店を取りやめた人が多いのでは」とみている。
年末商戦や歳暮商戦が本格的に始まるこの時期と感染拡大が重なったことに対しては「本当に大きな痛手だ」とため息をつく。