ビジネスと両立モデルを AL・新規参入の横浜グリッツ 「デュアルキャリア当たり前に」

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2020年11月4日
ホーム開幕戦で得点を決めて喜ぶ横浜グリッツの選手たち=10月17日、横浜市

 アイスホッケー・アジアリーグに今季参入した横浜グリッツ(GRITS)。選手が一般企業での仕事と競技活動とを両立させる「デュアルキャリア制」を採用している。プロのアスリートにとって、セカンドキャリアの不安は積年の課題。苫小牧東高から慶大に進学してアイスホッケー部にそれぞれ所属した臼井亮人最高経営責任者(CEO)は「デュアルキャリアを当たり前にしたい」と意気込む。

 理念を掲げる背景には、先細りする日本アイスホッケー界への危機感がある。企業スポーツの側面を色濃く残し、廃部やクラブチーム化が相次ぐ現状。プロで活躍する力がありながら大学卒業を機に引退する例が絶えない。「安心して競技生活を全うするため、仕事も全力で頑張れる環境があればいい」。2019年5月にチームを設立した臼井氏は、そんな思いで今年6月にアジアリーグ加盟へとこぎ着けた。

 選手はそれぞれの仕事を抱えながら練習をこなし、他チームよりも条件は厳しい。国内5チームで争う今季は開幕4連敗。トレーニングメニューの外注やメンタルトレーニングなど、集合練習以外に注力して克服を図る。浅沼芳征監督は「できない言い訳をするのではなく、できることを見つける。泥臭く、粘り強く戦う」と断言。チーム名「GRITS」には「やり抜く力」の意味が込められており、厳しい環境は覚悟の上だ。

 共感する企業に社員採用の協力を取り付けるなど、サポートは実を結びつつある。「同じ思いでスポーツをしている人はたくさんいる。モデルを成功させて他のスポーツにも還元させたい」と臼井氏。ビジネスとプロとの二足のわらじを履きこなす試みが、うねりを起こすことができるか。

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