新型コロナウイルス禍で全国各地の大学が影響を受ける中、苫小牧駒沢大学(有沢恒夫学長)は日常をしっかりと取り戻しつつある。一時は臨時休講や授業のオンライン対応を余儀なくされたが、広いキャンパスを少人数で使える利点もあり、対面授業と遠隔授業を効果的に併用。今後の感染状況で柔軟に対応できるよう、学生に安心・安全な学びの場を提供している。
(高野玲央奈)
同大は今年、コロナの影響で卒業式や入学式を中止し、4月1日~5月17日は臨時休講した。再開当初はオンラインによる遠隔授業で、6月から対面授業を再開。同大は定員300人に対し、学生数は124人で、キャンパスは「密」を避けやすい環境にあり、基本的なカリキュラムを問題なくこなしている。
ただ、コロナの収束は見通せないため、感染拡大に備えて慎重に対応しており、授業は対面を中心にしながら、遠隔も取り入れる「ハイブリッド型」。対面授業を行う各教室にアルコール消毒液を置き、座席も左右前後1席ずつ空けるなど、基本的なコロナ対策も徹底する。
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今月8日に行われた1年生の必修科目「キャリアデザイン基礎」は、140席ある教室で約30人が参加。学生は友人同士が近くに座るものの、1席ずつ離れて十分なスペースを確保。1年の臼井彗暉さん(19)=青雲町=は「学生が多くはないので(人の)密は感じない」と快適に勉学にいそしむ。
一方で、学生同士は隣合って座れないため、2年の宮●【c59c】壱斗さん(20)=新明町=は「意見の交換はしにくくなった」と率直な感想を漏らす。「(対面と遠隔の)どちらの授業も分かりやすさは変わらない」とも指摘する。
コロナ禍の大学生活に戸惑う学生もおり、学校祭など行事もなくなり、思い描いたキャンパスライフを送れず肩を落とす姿も。学生からは「休講期間もあったし、学費の減額もあったらよいのに」などの声も聞かれる。
とはいえ札幌市などの数千人規模の大学では、教室内でソーシャルディスタンス(社会的距離)確保が難しく、遠隔授業が中心の大学もある。同大の斉藤章吾事務局長(68)は「対面授業も実施でき、影響を大きく感じない」と強調し、今後も学生の不安などを解消しながら授業を進める。
感染症対策で離れて座る学生たち