新型コロナウイルスの感染拡大を受け、苫小牧明野中学校(鏡武志校長、生徒数232人)の生徒会や四つの委員会が自主的に感染防止対策の啓発活動やルールづくりを進めている。全校生徒へのアンケート結果を踏まえて大型ポスターを手作りし、校内で呼び掛けたところ徐々に意識が浸透。実践的な予防にもつながっている。
自主的な活動を始めたのは6月から。感染防止に向けて学校内の問題点を探ろうと全校生徒に対する意識調査を実施した。内容は「手を洗うことを心掛けているか」など全8項目。生徒会で回答内容を分析し、3密(密閉、密集、密接)を避ける取り組みが十分ではないことが分かったという。
この結果を踏まえ、飛沫(ひまつ)感染のリスクを周知できるようインターネットなどで情報を収集。会話した場合の飛散範囲や物質に付着したウイルス生存時間などのデータを縦1・5メートル、横2メートルの紙にまとめ、生徒玄関前に掲示した。
ポスターには、マスクなしの状態で呼吸した時の飛沫の飛散範囲が約50センチ、くしゃみをすると3~4メートル先まで拡散することなどを明記。手書きのイラストも加えながら、「人との距離 見つめ直そう」と呼び掛けるメッセージを大きく記した。
生徒会長の渡辺結愛さん(15)は、生徒一人一人の意識に訴える内容にしたことを強調。登下校時に目にしやすいよう、生徒用玄関前に掲示したところ一定の反響があったといい、「見る人が多いことが分かり、取り組んで良かった」と手応えを語る。
さらに委員会では、休み時間に図書室や体育館を利用する場合、学年ごとやクラス単位に分けて使うルールも導入。校内放送で繰り返し感染対策を呼び掛けたり、あいさつ運動も会釈にとどめたりするなどの活動を積極的に進めている。
鏡校長は、生徒たちが自ら考えて行動したことに「何ができるかを前向きに考え、取り組んできたことが形になったのは本当に素晴らしい」と高く評価する。今後も生徒たちの自主性を重んじながら、学校全体での感染防止に取り組む方針だ。