苫小牧市内の企業や団体で新型コロナウイルスの感染が相次いだことを受け、岩倉博文市長は2日、市民に感染防止対策を求める緊急メッセージを出した。3日午前、市役所で臨時の記者会見を開いた岩倉市長は市内の感染者発生は限定的との見方を示しながら、全国的な再拡大の兆候から対策を徹底させる必要性を改めて強調した。
緊急メッセージは夏休み、お盆シーズンを控え、人の動きが活発になることを踏まえ、▽3密(密閉、密集、密接)の場所を徹底して避ける▽多人数の会食や飲み会を避ける▽大声を出す行動の自粛▽マスク着用、手洗い、消毒、換気の徹底―などの具体的な対策を明示。「一人ひとりが『自分の身を守る』ことを意識して行動することが重要」と呼び掛けている。市として感染者が確認された事業所や保健所と連携して対応していることにも言及している。
記者会見ではメッセージを出した理由について、7月30日から8月1日にかけて市内の企業3社とスポーツ団体から従業員、関係者の感染者公表が続いたことを重視したと説明。感染拡大のリスクに関して、岩倉市長は「(現時点での)感染者は友人グループ(内)の話。拡大の可能性は低い」との見方を示した。その上で、「(感染者)すべての濃厚接触者の検体の検査結果が分かるのには、あと数日はかかる」とも述べ、保健所の調査によってクラスター(感染者集団)発生事例と見なされる可能性に含みを持たせた。
各患者の感染経路や居住地などの詳細な情報が非公表となっている点については、情報を管理する道が法律にのっとって、本人の意向を尊重して対応しているため、市としては明言できないと理解を求めた。
市内では7月30日のトヨタ自動車北海道を皮切りに、31日にダイナックス、8月1日に出光興産北海道製油所、苫小牧地区サッカー協会が相次いで感染者の公表に踏み切っている。道は7月30日から8月1日にかけて各企業、団体の公表との関連に触れない形で、胆振管内在住の計4人の感染者を発表していた。