苫小牧市内の小中学校は現在、夏休みを短縮して授業を続けている。新型コロナウイルス感染拡大により、春に臨時休校が長期化した影響だ。本来は楽しく休めるはずの時期に、授業時間の不足を解消するため机に向かう子どもたち。各学校もコロナ予防と暑さ対策を両立するため、窓を開けたまま授業を進めるなど工夫を重ねている。
(高野玲央奈、金子勝俊)
市内小中学校の夏休みは今年、8月8~17日の10日間。本来は7月23日~8月18日の27日間だったが、コロナによる臨時休校の長期化を受け、学習の遅れを取り戻すため短縮した。小中学校はコロナの影響で2月27日に臨時休校が始まり、4月6~8日に随時再開したが、同20日~5月31日に再び休校していた。
夏本番を迎えた中で授業が続くため、各学校は子どもの体調管理を第一に、コロナと暑さの対策を両立させる。拓勇小学校(松井操人校長)は熱中症予防で、児童に水筒の持参を呼び掛け、6年生を受け持つ柴田恵子教諭(41)は「定期的な水分補給を促している」と説明する。苫小牧は夏も気温が低いため「子どもたちはそんなに暑がっていない印象。長袖を着ている子もいる」と話す。
気温が高くなれば扇風機も使う予定とするなど、授業中も過ごしやすい環境に配慮しており、三谷花夏さん(11)は「学校で暑さは感じない。たまに暑い時は上着を脱ぐ」と語る。短縮された夏休みにも「臨時休校の時は友達と話せなかった。学校でおしゃべりするのは楽しい」と笑顔。福井佑介君(11)も「少しずつ頑張れば1日はすぐに終わる。給食はおいしいし、休みたいと思ったことはない」と言い切る。
豊川小学校(石川一美校長)も冷房と換気を兼ね、窓やドアを開け放して授業を行っており、5年生の高木簾君(11)は「学校が楽しいし、勉強も進む」と歓迎し、マスク着用の授業も「慣れた」と言う。そもそもコロナ禍の夏は楽しみも自粛傾向のようで、菅沼奏さん(10)も「夏休みはすることがない。コロナが自粛してほしい」と淡々と授業を受けつつ「夏休みになったら自由研究で何か作りたい」と話す。
ただ、長期休暇ならではのリフレッシュ、学校では普段できないことへの取り組みなどは、休みの短縮で難しくなりそうで、石川校長は「子どもたちが興味や関心に浸る時間が足りない」と懸念する。
同小はコロナによる臨時休校中も児童に任意の自由研究を勧め、再開後に展示した経緯がある。このため夏休みも自由研究は任意とする方針で、「絵日記も枚数を減らすなど短い夏休みに対応したい。いろんなことに興味を持てる時間にしてもらえれば」と話している。