苫小牧市シルバー人材センターが、新型コロナウイルスの影響で会員確保に苦慮している。ここ数年は退会よりも入会が多く、増加傾向で推移していたが、今年度はコロナ禍で4~5月の入会説明会が開けず、前年同期と比べ新規入会は4割減。同センターは幅広い業務に対応する上で会員拡大が不可欠とし、「できる範囲でPRして目標に近づけたい」としている。
同センターの会員登録は1年更新制で年度末に入退会が活発になる。近年は説明会の開催場所を増やしたことで会員数は順調に伸びていたが、今年度はコロナ禍により5月まで説明会がすべて延期か中止。この影響で同期間中の新規入会者数は前年同期比38%減の26人。3月末時点で697人だった会員数も、6月末には623人となった。
説明会は6月から再開。今月15日には白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業に合わせた女性限定のアイヌ刺しゅう講座を取り入れた説明会も開いたが、参加は低調だった。
同センターによると、近年は一人暮らしの高齢者が増えたことでヘルパー業務の需要が伸び、女性会員のニーズが増加。加入促進に向けて化粧教室やほうとう作り、健康体操などのセミナーと合わせた説明会も取り入れているが、コロナの影響もあり、思うような参加はない。
渡部勲事務局長は「今年度の会員目標数は744人だが、従来のような説明会ができずPRの機会をつくりにくい」と指摘。「それでも密を避けながら、できる範囲で募集活動を続ける」と話す。
コロナの影響は業務受注にも出ている。4~6月の依頼件数は前年同期より15%少なく、特にホテル関連は企業や団体の会合や総会が相次いでキャンセルされ、落ち込みが顕著。ゴルフ場もポーターや清掃、受け付け業務などを請け負うが、4~6月の3カ月は昨年と比べわずか3割だった。6月下旬から回復の兆しは出ているが、外国人観光客の需要も期待できず厳しい状況は今後も続く見通しだ。
渡部事務局長は、多様な業務依頼に対応するには一定の会員数が必要と強調。コロナの影響は今後も続くとし「会員獲得の手法を探りながら依頼に対応していきたい」と話している。
苫小牧市シルバー人材センター
登録会員が持つ知識や技能を生かし、家庭や企業、公共団体から依頼された家事や清掃、通院の付き添い、施設管理、草刈りなど幅広い業務を請け負う。会員は健康で働く意欲のある60歳以上の市民で、仕事量に応じて報酬が支払われ、生きがいづくりや地域社会の発展にも貢献している。