王子イーグルス 菅原監督就任2年目の挑戦 アジアリーグ、全日本 目標のVへ

  • アイスホッケー, スポーツ, レッドイーグルス
  • 2020年7月6日
2020~21シーズンのチーム飛躍に燃える菅原監督

  アイスホッケー・アジアリーグの王子イーグルスが、2020~21シーズンに向け準備を進めている。新型コロナウイルスの影響で開幕時期を含めた日程は不透明なままだが、選手たちはチームが打ち立てた感染症対応ガイドラインに従って6月中旬から陸上トレーニングを開始。今月8日には、本拠地白鳥王子アイスアリーナで全体の氷上練習もスタートする。就任2年目の菅原宣宏監督(45)に異例の状況下でシーズン到来を信じ、努力を重ねる選手たちの様子や抱負を聞いた。(聞き手・北畠授)

  ―新型コロナ禍が続いた中でのチーム始動となった。

   2月に韓国で行われたアジアリーグプレーオフセミファイナルで無観客試合を初めて経験するなど、新型コロナの影響を目の当たりにした。オフ期間に合宿所や室内練習場で顔を合わせた選手から、新シーズンを不安視する声も聞こえていた。6月15日にチーム練習を開始したが、最初の頃は笑顔でトレーニングに取り組む姿とは裏腹に、どこか元気がない様子だった。

   それでも主将、副主将2人と3人任命した各リーダーを中心にまとまり、思った以上にトレーニングは順調に進んでいる。昨シーズン終了後に、コンディションを維持し続けてもらい、若手選手に至っては上げていく感覚を持ってオフ期間を過ごすよう促した。実行してくれたことも大きい。

  ―2019~20シーズンを振り返って、序盤は苦しんだ。

   昨季は監督に就任した私を含め選手7人、指導陣3人の計10人が入れ替わった。攻守に力のあるプレーヤーが加入し、周囲はもちろんチーム内でも簡単に結果が出るという気持ちがあった。ただ、ふたを開ければ19年8月に苫小牧で行ったプレシーズンマッチでひがし北海道クレインズに2―6で敗戦。「こんなはずじゃない」と全員が危機感を抱いた。

   レギュラーリーグの序盤は自分たちのホッケーが確立し切れず、手探りの状態だった。日程の3分の1を終えた時点で5勝7敗と負け越し。新加入選手が王子に溶け込むことよりも、既存の選手たちがより成長しないと勝利には結び付かないと思い、常に言い聞かせていた。

  ―中盤は破竹の8連勝など勢いに乗った。

   10月中旬からあったホーム6戦をすべて物にするなど、選手たちは勝ちを重ねるごとに自信を付け、いい表情でプレーするようになった。アニャンハルラ(韓国)にレギュラーリーグで勝ち越し。サハリン(ロシア)にも引けを取らない試合をしてくれた。

   全日本選手権3位、リーグ3位として臨んだプレーオフセミファイナルでは及ばなかったが、成長は確実にしたと思うし、充実感はあったシーズンだった。

  ―横浜グリッツが今年から加盟したことについて。

   大歓迎したい。王子としても、3月に横浜市で開催予定だったグリッツ主催のチャレンジマッチ参戦の要請に応じるなど、全面的に協力してきた。アイスホッケー競技者が減る中で、トップチームの間口が広がるのはとても明るいニュースだ。

  ―新型コロナでいまだ開幕の見通しは立たないが、展望は。

   例年と変わらず準備していくだけ。国内の各チームは補強を進めているが、王子は昨季と違い、ほとんど変わらない選手構成。手応えをつかんで終わった昨年の取り組みに、より深みを加えられる環境にあるのは大きな強み。

   当然、選手一人ひとりに持ち味がある。それぞれの特長を生かしながらチームに貢献してほしい。アジアリーグレギュラーリーグ1位、プレーオフ優勝、全日本選手権優勝の目標は昨季と変わらない。達成を見据えて日々力を付けていきたい。

   菅原宣宏(すがわら・のぶひろ)

   1975年、苫小牧市生まれ。駒大苫小牧高から1994年に新王子製紙アイスホッケー部(当時)に入部した。DFの要として日本、アジア両リーグで2008年まで計14季プレー。07~08シーズンは王子のアジアリーグ初制覇にも貢献している。17年にコーチ就任。19年から監督としてチームを率いる。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。