新型コロナウイルス感染拡大による影響が、高校生の就職活動も左右している。採用選考は当初9月16日の開始を予定していたが、今年は臨時休校の長期化を踏まえ、国が1カ月遅れの10月16日スタートに決めた。生徒たちは「準備がしっかりできる」などと気持ちを新たにしつつ、後ろ倒しで「後がなくなる」など懸念の声も上がる。
(高野玲央奈、金子勝俊)
高校生の就活開始日が後ろにずらされるのは初めて。今年度は5月末までコロナの影響で休校し、就活の準備も遅れたことに配慮された。企業から学校への求人申し込みは、当初の予定通り7月1日に始まるが、採用選考や内定決定は1カ月遅れとなる。
苫小牧工業高校3年生230人のうち、就職希望者は7割に当たる165人で、うち公務員志望は19人。コロナの影響による先行き不安もあるようで、進路指導部の藤田寛人教諭(46)は「例年よりも進学希望、公務員志望が多い」と指摘する。
三者面談の日程が遅れるなど影響もあるが、「準備時間が長くなったと思い、内容の濃い面接指導などに充てる」と強調する。コロナの影響で職場見学を控える動きがないかどうかを懸念し「ミスマッチを防ぐためにも、普段からお付き合いのある企業に受け入れを要請していく」と話す。
情報技術科の岡本健汰さん(18)は就活に有利になるよう危険物取扱の資格取得を目指していたが「試験が延期されて履歴書に書けなくなった」と嘆く。第1志望を明確に定めているだけに「採用試験の準備が1カ月間できるのでプラスに考える」と意欲を燃やす。
電子機械科の青木蒼星さん(17)もすでに第1志望を絞っており「時期がずれるのは仕方がない。チャンスにするため勉強する」と強調する。日程の後ろ倒しを前向きに捉えるが、同校は生徒の運転免許証取得を、内定決定後に限定しているため「自動車学校に通うのがぎりぎりになりそう」と心配する。
苫小牧南高校は3年生196人のうち、年度当初の就職希望は27人だった。6月から模擬面接を進めるなど準備を本格化しており、進路指導部の奥道明教諭(57)は「全員同じ条件で、あまり影響はない」と見通す。同校は就職希望者がもともと少なく、「夏休みが勝負」という雰囲気だっただけに「じっくり考える時間が増えた」と話す。
蝦名うたさん(18)は休校中も準備し、第1志望を決めたが「コロナの影響からか採用に関連する情報が収集しづらかった」と振り返る。就活時期のずれ込みに「最初は準備する時間が増えてほっとしていた」と言うが、「(第1志望で)内定が決まらなかったときが不安」と話す。