センター試験の代わりに始まる「大学入学共通テスト」が、当初予定通り来年1月16、17両日に行われる。新型コロナウイルス感染拡大による休校長期化の影響に配慮し、同30、31両日の「第2日程」も設けられる異例の対応だ。苫小牧市内の高校3年生やその指導者からは前向きな受け止めが広がるが、戸惑いや出題範囲を懸念する声も上がっている。(高野玲央奈)
苫小牧東高校の野別花さん(17)は共通テストの「第1日程」に「やっぱり予定通り」と冷静に受け止める。臨時休校中もマイペースで家庭学習に取り組み「出題範囲が狭い分には楽になると思う。授業は先生が教えてくれるので不安視はしていない」と前を向く。
網代千愛さん(18)も日程は「大丈夫」と言い切る一方、出題範囲が気になる様子で「既に勉強している範囲を削られても困るので、全部出題してほしい」と要望する。亀尾隼汰さん(17)も「範囲が狭まったら楽な部分はあるが、みんな同じ状況なのでそこまで差がない」と話す。
道内外で臨時休校の長さが異なり、学力の地域格差を懸念する声もあるが、進路指導部長の中森賢司教諭(51)は「帳尻を合わせられる」と見通す。同校は遅れを取り戻そうと通常6時間授業のところ、6月から毎週木曜に7時間授業を実施している。
7月の学校祭開催を見合わせたことで、その準備時間を授業に充てている。夏休みの短縮も予定するなど「第1日程」に照準を合わせており「1月中旬の日程でほっとしている。(後ろ倒しは)生徒が混乱する可能性があった」と粛々と準備を進める。
今年度は学習の遅れや地域格差の解消に配慮し、2週間の猶予期間がある「第2日程」も設定された。受験生にとって選択肢が広がる結果、歓迎や戸惑いなど思惑も交錯し、心や「戦略」が揺れる生徒もいる。
苫小牧南高校の本間永遠(とわ)さん(17)は「第2日程は視野に入る。勉強の進行状況を見ながら判断したい」と話し、横関連太郎さん(17)は第2日程と志望校の2次試験の日程が詰まることを見据えて「勉強がしにくくなってしまう」と懸念する。
同校は例年8月末に進学希望者を対象に説明会を開いている。共通テスト日程の選択方法など、情報がまだ不足している現状に、進路指導部の奥道明教諭(57)は「生徒への指導のため、説明会に間に合うよう、情報が欲しい」と切望。受験生が不平等にならないよう、実情に配慮した対応が求められている。