新型コロナウイルス流行による来道者の大幅な落ち込みに、苫小牧の観光団体や行政が危機感を募らせている。北海道観光振興機構(札幌市)の統計では2月以降、航空機や北海道新幹線、フェリーの利用者は大幅に減り、5月は前年同月比で9割減。緊急事態宣言や国、道による移動に対する「慎重な対応」の解除など、段階的な緩和で人の動きは徐々に戻りつつあるが、新たな感染者増への懸念もあり、関係者は今後の動向を注視している。
同機構が集計した今年1~5月の来道者数を見ると、1月は100万8092人(前年同月比0・4%増)、2月は92万1864人(7・5%減)と小幅に変動。だが、新型コロナ感染が世界に広がった3月は外国人観光客などの入り込みが急速に落ち込み38万3942人(66%減)、4月も16万3795人(84・2%減)、5月は10万4883人(91・2%減)と深刻な状況が続く。
同機構マーケティング部は「新型コロナによる国や道の緊急事態宣言を受け、観光客の減少が顕著になった」と説明する。
苫小牧市内では、道の駅ウトナイ湖やオートリゾート苫小牧アルテンなどの観光施設が3月以降、緊急事態宣言を受けて一時休業。市内表町の苫小牧観光案内所も電話や来所による相談がほぼ皆無で、苫小牧観光協会の藤岡照宏専務は「5月25日から案内所の営業を再開したが客足は少ない」と現状を語る。
今年は地元を代表する「とまこまい港まつり」の中止が決まり、その他のイベントも多くが見送りとなるなど、観光需要の回復は厳しい見込み。観光入込客数を集計している市観光振興課は現状について、「道の道内旅行商品割引(どうみん割)や国のGoToキャンペーン、ウポポイ開業の効果を見たい」としている。
道は落ち込んだ観光需要を創出するため、7月から道民を対象に実施するどうみん割を基軸に「まずは振興局管内、道内の移動に力を入れる」(道観光局)とし、道外分はGoToキャンペーンの動きを見守る考えだ。