帝国データバンク札幌支店は、新型コロナウイルス感染症に対する5月の道内企業意識調査結果を発表した。自社の業績に「マイナスの影響」があると見込む企業は80・7%だった。4月調査(86・5%)に比べ5・8ポイント改善したものの、2カ月連続で8割を超えた。自社で実施・検討している施策では「政府系金融機関による特別融資の利用」が38・3%でトップだった。
「マイナスの影響」の内訳は、「既にマイナスの影響がある」が49・3%で、4月調査(45・6%)から3・7ポイント増加し、2月の調査開始以来、最多に。一方、「今後マイナスの影響がある」(31・4%)は、4月調査に比べ9・5ポイント減少した。
「マイナスの影響がある」と見込む企業の業界別では、「卸売」が87・6%で最多。これに「製造」(84・6%)、「サービス」(80%)、「小売」(78・8%)、「建設」(77・9%)と続いた。
コロナ禍で経済活動が制限される中、自社が実施・検討している施策(複数回答)では、「政府系金融機関による特別融資の利用」が最多となり、以下、「民間金融機関への融資相談」(37・1%)、「雇用調整助成金の利用」(27・7%)の順。企業の規模別では、大企業は「テレワーク設備などIT(情報技術)投資の推進」(40%)がトップとなった。
企業からは「収束するまで公的資金を借入してしのぐ。今はなすすべ無しという感じだが、活路を見いだすため日々考えている」「人員に余剰が発生しているが、長年勤務している社員を路頭に迷わせるわけにはいかない。当面は内部留保の取り崩しや、雇用調整助成金の申請を活用したい」などの声が上がっている。
調査は5月18~31日に、道内企業1130社を対象に実施。596社から回答を得た(回答率52・7%)。
自社で実施・検討している施策(複数回答)
順位 施 策 割合
1 政府系金融機関による特別融資利用 38.3%
2 民間金融機関への融資相談 37.1%
3 雇用調整助成金の利用 27.7%
4 テレワーク設備などIT投資の推進 26.3%
5 持続化給付金の利用 15.9%
6 特別手当支給、一時的な時給アップ
などの従業員支援 10.2%
7 生産・サービス提供における生産性
向上のための設備投資の実施 9.6%
8 新規採用の縮小(新卒・中途入社) 9.2%
9 EC(電子商取引)やオンラインでの
サービス提供の推進 8.7%
10 内製化の推進 5.7%