サッカーの2034年ワールドカップ(W杯)はサウジアラビアの単独開催に決まった。W杯は6、7月の開催が一般的だが、酷暑を避けるため1、2月に前倒しする案がささやかれている。同年2月にソルトレークシティー(米ユタ州)で行われる冬季五輪と時期が重なる可能性があり、視聴者が分散してスポンサー企業が離れる懸念もある。
サウジと同じ中東のカタールが舞台となった22年W杯は、11~12月に実施された。しかし、34年の11~12月はイスラム教のラマダン(断食月)期間と重なる。さらに11月29日から12月14日に首都リヤドで夏季アジア大会が行われるため、この時期の開催は難しそうだ。
国際サッカー連盟(FIFA)は、出場チームと観客に最適な条件を提供するため、気候、宗教、スポーツイベントなどを考慮して最適な時期を決める意向を示している。サウジの夏場は40度を超えるため、冬季が有力。W杯史上初めて1、2月の開催となる可能性が浮上している。
ともに4年に1度開催され、世界最大級の人気と注目度を誇るW杯と五輪が、視聴者やスポンサーを取り合うことになるのか。国際オリンピック委員会(IOC)のデュビ五輪統括部長は「二つのイベントが同時開催されるリスクは極めて限定的だ。異なる国と大陸で開催されるため、商業的な点を含め、あらゆる観点からみてリスクはほとんどない」と強調した。