五輪のプレシーズン。主戦場の男子500メートルで森重は苦しんでいた。昨季のワールドカップ(W杯)で種目別優勝を果たしながら、今季のW杯4レースでは7位が最高だった。「徐々に調子が上がってきている」。年内最後となる今大会で光明が差してきた。
「自分の形がようやく見えてきた」と振り返ったのは、不振の一番の原因だったスタートだ。低い姿勢を取り戻しつつあり、最初の100メートルでは目標としていた9秒6台にやっと届いた。
五輪を見据えて挑戦できるシーズンでもある。ナショナルチームを離れて新チームを結成し、新しい靴やブレード(刃)も試してきた。新濱の活躍が目立つ中で出遅れた悔しさはあるだろうが、「レースを重ねるたびに見えてくるものがある」。努めて前向きな姿勢でいる。
スタートが改善されれば、今後は増したスピードでいかにカーブを攻略するかも課題。「まだまだいけると思っている。練習したいことがたくさんある」。明るい表情で今後をにらんだ。