国が「慎重な対応」を求めていた都道府県をまたぐ移動などの自粛が全面解除された最初の週末、空の玄関口の新千歳空港や苫小牧市内の観光およびレジャースポットには家族連れなどの姿が戻ってきた。道外や札幌市からの訪問も数多く見られた。
新千歳空港の国内線ビルでは20日、到着した旅行客や本州方面に向かう人などが行き交い、コロナ禍前の3分の1程度まで人出が戻ったようだった。
神奈川県横須賀市の会社員菅野吉幸さん(60)は息子の結婚準備で来道。「予定よりも2カ月遅れになったが、制限が解除されほっとした」と笑顔で語った。山形市から来た大学1年生の土屋悠希さん(18)は、道内の大学に今春入学した。「現在はオンラインで講義を受けており、実際の講義再開は秋から。1人暮らしに慣れるため早めに来た」と学生生活に期待する一方、「油断したらまた感染が広がるかもしれない」と気を引き締めた。
旭川市の実家に帰省するさいたま市の会社員男性(66)は「コロナでなかなか帰省できなかった。90歳近い両親の顔を見るのは1年ぶり」と述べ、実家へ急いだ。
苫小牧市内のアウトドアレジャー施設、オートリゾート苫小牧アルテン(苫小牧市樽前)のキャンプ場も同日、札幌市や江別市などから親子連れら約700人が訪れた。200カ所あるテントの設置場所やコテージは予約で埋まり、開放的な空間の中、散策や料理を味わうなど思い思いに過ごしていた。
毎年利用しているという札幌市手稲区の男性会社員(48)は家族や友人ら13人で来場。「ずっと我慢していたのでバーベキューを楽しみたい」と笑顔で語った。例年なら6月の1日当たり平均予約数は50組ほどだが、20日は150組以上。平田利明社長は「コロナ不況を乗り越え、来場者の回復を目指したい」と話した。
市内植苗の屋外庭園施設イコロの森では20、21の2日間で271人が来園。バラなどが咲くガーデン(有料エリア)でゆったりとした時間を過ごした。スタッフの高林初さん(42)は「『ようやく来られた』という人もいる」と話し、来園者増に期待を寄せた。
市内のパークゴルフ場でプレーした札幌市の会社員唐牛研志さん(63)は「天気も良くて楽しかった」と満足そう。数年前から毎年、泊まりがけで利用しているといい、「やっと気兼ねなく足を運ぶことができる」と喜んだ。