都道府県をまたぐ移動や札幌への行き来など、国や道が「慎重な対応」を求めていた移動の規制が19日に全面解除された。苫小牧市内では観光客の入り込み回復などに期待が懸かる一方、新型コロナウイルス感染拡大に対する不安感も広がっている。
末広町のパート従業員、原田幸さん(33)は「飲食店や観光業は自粛で大変だったが、今回の解除でお客さんが来てくれるかもしれない」と歓迎する一方、感染リスクに対する警戒感から、毎年楽しんでいた本州旅行を「今年は道内にしたい」と話す。
道の駅ウトナイ湖のテークアウトコーナー「プレジール」の佐藤晶子店長(33)は「売り上げ回復が期待できる」と笑顔。夏の旅行シーズンは来店客でにぎわいそうだが「マスク着用や一定の距離を保つなどマナーを守って利用してほしい」と話した。
売り上げが大きく落ち込んでいた緑町の水産物販売、石垣孝幸さん(58)は「土日を中心に少しずつお客さんが戻っている。移動自粛の解除でもっと客足が増えてほしい」と述べた。
緑町の建設業、佐藤信行さん(56)は「本州から来る人が増え、感染が拡大しないか不安」と表情を曇らせる。感染防止で外出を控えているといい「仕事で札幌に行くことすらまだ怖い。しばらくは北海道から出ようとは思わない」と語った。
旅行業界は歓迎ムードだ。市内柳町のJTBイオンモール苫小牧店は、6月1日に営業を再開。受け付けカウンターを間引きして飛沫(ひまつ)感染防止シートを設置し、来店も予約制にするなど感染防止対策を徹底。来店者には宿泊先の感染対策情報も伝える。
餌取亜樹店長は「レジャーや卒業旅行を諦めていた人が戻ってくるのでは」と予測。海外需要はないものの「リゾート感のある沖縄旅行の問い合わせが目立つ。リフレッシュで道内の温泉地などから徐々に予約が入るのでは」と見込む。
市内表町のホテルウイングインターナショナル苫小牧の菅野健太支配人は「一歩進んだ」としつつ、「以前のような人の往来はまだ先」と気を引き締め、施設内の衛生管理を徹底しながら今後の回復に期待を寄せる。