北海道経済産業局は、6月の道内経済概況を発表した。総括判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況となっている」と3カ月連続で下方修正した。主要項目別では、公共工事のみ上方修正したが、生産活動、個人消費、住宅建設、民間設備投資の4項目の判断を引き下げた。先行きについても「感染症の影響の拡大、国際経済の動向を十分注視する必要がある」としている。
4月の経済指標を中心に、5月以降のヒアリングを加味して判断した。
生産活動は、前月の「弱い動きとなっている」から、「急速に低下している」へ判断を引き下げた。4月の鉱工業生産が前月比8・2%減と、3カ月ぶりに低下したため。一般機械工業、輸送機械工業など13業種で低下した。企業からは「新車販売が不振であることや海外の自動車工場の生産停止などから、自動車部品の生産が落ちている」(輸送機械工業)などの声が上がっている。
個人消費も前月の「弱い動きとなっている」から、「一部が急速に低下している」に下方修正した。スーパー、ドラッグストア、ホームセンターの4月の販売額が前年を上回ったものの、他の業態は下回ったため。特に百貨店は臨時休業やインバウンド需要の減少により、前年同月比で61・9%の大幅減となった。企業からは「外出自粛により、ゴールデンウイークに入っても人の動きがなく、連休らしい需要がなくなってしまった」(コンビニエンスストア)との指摘も出ている。
また、住宅建設は「低下している」、民間設備投資は「おおむね横ばいとなっている」と判断。それぞれ前月から下方修正した。
一方、公共工事は、前月の「減少している」から、「増加している」へ上方修正した。4月の公共工事請負金額が、国、道、市町村の全てで前年を上回ったためで、2カ月ぶりに判断を引き上げた。
この他、観光は「悪化している」、雇用動向は「弱い動きが見られる」と判断を据え置いた。