アイスホッケー・アジアリーグの王子イーグルスが15日、苫小牧市表町の王子製紙室内練習場で全体練習を開始した。新型コロナウイルスによるリーグ開始時期がいまだ不透明の中、所属する日本人選手23人が2班に分かれて体力測定を実施。握手やハイタッチの禁止、徹底した会場換気、社会的距離の維持など事前に作成した感染症対応ガイドライン(指針)にのっとりながら、菅原宣宏監督体制2年目が船出した。
かつてない社会の状況という現実がある。「新型コロナ下で不安はあると思うが、目の前のトレーニングに集中していこう」と菅原監督が所信を伝えてスタートした。選手がジャンプ力、バランス感覚、持久力などを見る4種類の体力測定メニューをこなした。DFの山下敬史主将は「測定値が去年より上がっている選手もいた。久々にみんなの顔が見られて、楽しくこなすことはできた」。笑顔でメンバーの思いを代弁した。
各種トップリーグチームの中でも、疾病まん延下のスポーツ活動にいち早く対処せざるを得なかった。2月下旬時点で、日本よりも早く新型コロナ流行が見られた韓国で2019~20アジアリーグのプレーオフセミファイナルでアニャンハルラと戦った際、「選手・スタッフがマスク着用、手洗い、身の回りの消毒作業を徹底し、第3戦では初の無観客試合も経験した」(菅原監督)。対策の重要性を全員で体感しただけに「帰国後のオフ期間は室内練習場の利用を5人ほどの小グループに分け、時間別に行動するルールを作った」と言う。
全体再始動に向けてはサッカーJリーグ、NPB日本野球機構など各種競技団体の動向や日本アイスホッケー連盟の指針を参考にしながら、今月はじめに独自のガイドラインを作成。起床後の体温測定や問診、行動記録管理などを欠かさず行うほか、合宿所、室内練習場、スケートリンクの各会場使用時の注意点も細かく示す。菅原監督は「選手たちには『ニューノーマル』、新しい普通をつくっていこうと呼び掛けている」と話す。「若い選手も多いので心の面でケアしていく必要はあるが、今できる準備をいつも通りやっていくだけ」と割り切っている。
昨季の全日本選手権3位、アジアリーグセミファイナル敗退を踏まえ、栄冠奪回に始動こそしたが、同リーグの今季開催は見通しがいまだ立たない。山下主将は「去年よりもいいチームになる手応えはある。早くリンクでファンとお会いしたい」。戦いのシーズン到来へメンバーそれぞれが鍛えていく。