苫小牧市議会定例会は12日の本会議で、新型コロナウイルス対策費などを盛り込んだ2020年度各会計補正予算案など6件を全会一致で原案通り可決した。15日からは17人が通告している一般質問に入る。
一般会計は7億3916万円の増額補正で、総額968億5233万円となった。うち、コロナ関係は地域経済対策、感染拡大防止、子どもたちの日々―を主軸に事業を構築し、関連経費約4億円を盛った。
地域経済対策としては専決処分で小規模事業者向け支援事業に約1億円を充てた上、今回新たに約2億2900万円を追加。大幅な減収で国の持続化給付金の受給決定などを条件に10万円を支給する「中小事業者持続化支援事業」は6月中旬から申請の受け付けを始める。約1000事業者の利用を見込み、苫小牧商工会議所や業界団体などを通じて周知を図る。
休業要請などに協力した事業者の上下水道料金は、2カ月分を全額減免。公共施設の指定管理者に3月末までの休館に伴う減収分を支給する。
感染拡大防止関連では、2900万円を計上。避難所用の防災備蓄としてマスク5万枚、消毒液1200本、検温器150個などを新たに確保する。被災者1万人に、3日間対応できる想定という。路線バスの運転席周辺に飛沫(ひまつ)防止の防護スクリーンを取り付ける経費(100台分)、小中学校への非接触型の体温計設置なども進める。
子どもたちの日々を守るための事業には、約1億4400万円を盛った。苫小牧駒沢大学の学生らに一律5万円を支給、市立図書館の児童向け電子図書を拡充する。学校内での児童生徒の密集を避けるため、各教室への映像を受信する大型モニター配備を推進。授業時数回復日数分の学校給食費なども補助する。
議案審議では、十分な支援が行き届いてない分野への対応を市議がただす場面が目立ち、岩倉博文市長は「光が届かない業界、業種は確かに存在する。しっかり見ていきたい」などと理解を求めていた。
記者席 どう救うか
新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けた苫小牧市内の事業者を対象にした中小事業者持続化支援事業をめぐる12日の質疑では、何度か市側が答弁に詰まる場面があった。
コロナ禍で大幅な売り上げ減に直面した中小・小規模事業者が融資などを受けて事業継続をする場合、10万円を支給する市の制度には、支給要件が二つある。国の持続化給付金給付決定は必須。さらに国の雇用調整助成金または、コロナ関連融資のいずれかを受給することが要件で「厳し過ぎる」と複数の市議から注文が付いた。
市側は50%以上の売り上げ減に見舞われながら道の休業要請などの支援対象から漏れた事業者の救済を優先したり、当初よりも申請方法が簡素化され、支援も拡充された国の制度利用を促したりするためだと説明したが、市議側は国や道、市の支援制度の対象外となっている業者への手当ての必要性を強調。要件緩和を求めた。双方が地元業者の救済という目的を共有しながら財源が限られる中で優先順位の付け方に違いが出た。
ただ質疑の中では、市議側が指摘する課題について、市側も検討を重ねてきた経緯も明らかに。国の2次補正に伴う追加支援で「できるだけのことをしてあげられないかと検討している」(岩倉博文市長)という答弁もあった。(河)