苫小牧市内の小中学校は新型コロナウイルスの影響を踏まえ、体育授業の在り方を模索している。現在は陸上を中心に展開中だが、子ども同士の距離を確保するなど「密」対策が必須。一人一人がじっくり運動しやすいメリットもあるが、内容や種目の変更を余儀なくされることも。夏は熱中症対策でマスクを着用しない場面も増えるだけに、児童や生徒の安全を最優先に工夫している。
(高野玲央奈)
苫小牧拓進小学校(山形知憲校長、児童数795人)は学校が再開した1日、早速屋外で体育授業を行った。4年生はこれまで4クラス全体で行っていたが、体育館とグラウンドに2クラスずつ分けて実施。4年3組担任の幅田啓教諭(37)は「人数を少なくした方が児童一人一人の運動機会をつくりやすくなる」と話す。
グラウンドの陸上用コースは、これまで一つだったが、再開後は二つ用意。走る際は1レーンずつ空けて距離を保ち、順番待ちも離れた場所に徹底。子どもたちが安心して力いっぱい走れるようにし、丸本柚月さん(9)は「最初はマスクをして走ったけれど2回目からは外した。学校で走るなんて久しぶり」と喜んでいた。
苫小牧東中学校(五十嵐昭広校長、生徒数288人)もレーンの線を太くし、陸上競技から取り組んでいるが、橘虎冴(たいが)さん(12)は「実際に走ると体力が落ち気味なのを実感した」と話す。1、2年の体育を教える平俊輔教諭(32)は、休校の長期化による影響について「かなり運動をしておらず体力が低下していると思う」と指摘し、「少しでも早く体力が戻るように心掛けたい」と力を込める。
本来であれば6月のこの時期、陸上を終えて球技を展開している。当初はソフトボールを予定していたが、グローブやバットなど道具の共有を避け、種目をサッカーに変える考え。ただ、サッカーも「密」になりやすい競技とあり、ゲームができるかは慎重に見極め、秋ごろに予定していた柔道も年度末まで行わず様子を見る。
さらに市教育委員会はコロナの影響で早々に、市内小中学校の運動会や体育祭の中止を決めている。長縄跳びや二人三脚など体育祭ならではの団体種目も行わないが、五十嵐校長は「(人間関係の)集団づくりの機会だった」と説明。「達成感がある機会を仕掛けることができたら」と代替も展望している。