JR北海道は10日、新型コロナウイルスの影響を受けて3月下旬から減便中の特急列車などを7月1日から通常通り運行すると発表した。札幌―新千歳空港駅を結ぶ「快速エアポート」は特急に先立ち、6月14日から通常運行する。ビジネス需要が回復傾向にあることや、道が打ち出す「道内旅行割引(どうみん割)」などの効果を見込む。
同社は現在、快速エアポートを1日当たり16本運休。特急は札幌―旭川の「ライラック」や「カムイ」など24本、北海道新幹線(新青森―新函館北斗)を6本運休している。当初は14日から快速エアポートの運休を1日12本追加する計画だったが、追加減便を取りやめるとともに従来の減便も中止して通常運行に戻す。これによって1時間当たり5本の運行となる。
また、旭川―網走間の「大雪」、旭川―稚内間の「サロベツ」は計画通り14日から一部運休する。ただ、特急の減便期間は6月末までとし、北海道新幹線も含めて7月1日から通常運行とする。
同社によると、3月23日から6月30日まで減便となる列車の総本数は2876本(見込み含む)。減便による経費節減効果は3億円に上る。新型コロナウイルス感染拡大を受け、職員の一時帰休を実施しているが、JR新千歳空港駅のインフォメーションデスク(外国人向け)の業務がないことなどから当面継続する方針だ。
また、5月の鉄道収入は前年比74・6%減の14億7900万円。5月4日時点の札幌駅の利用者は87・9%減の1万8090人、新千歳空港駅の利用者は92・6%減の2670人に落ち込んだ。快速エアポートの利用者は89%減の5150人だった。
ただ、今月5日時点の実績では回復傾向が見られ、札幌駅は50%減の10万3620人、新千歳空港駅は80・2%減の7750人。快速エアポートの利用実績は55%減の2万3890人だった。
通常運行に向け、島田修社長は「特急列車の本数を増やして(座席に)余裕を持ってもらい、『3密』の回避につなげたい」とし、「まずは通勤、通学を中心としたビジネスの利用回復を先行させ、観光を含めた都市間移動、新幹線の利用回復につなげていきたい。今後のキャンペーンの展開がどうなるかをにらみながら観光の利用を段階的に回復させていく」と述べた。