㊦スケボーで諦めない心を ともに目指す世界の頂 道内最大級の種目設備─ブレイズ

  • 特集, 苫小牧発、世界に 羽ばたくスケートボーダー
  • 2020年5月26日
「キッズクラブ」で指導する西村さん(手前左)
「キッズクラブ」で指導する西村さん(手前左)
ボウルを二つ備える屋内施設
ボウルを二つ備える屋内施設

  苫小牧のスケートボードを取り巻く環境は年月をかけて進歩してきた。パーク種目向けのボウルやストリート種目のための構造物「レール」「ボックス」といった設備に加え、選手を指導する人たちの存在も欠かせない要素だ。

   横乗り系スポーツ用品を中心に扱うショップ、ブレイズ(西村千秋代表)=苫小牧市有明町=は1993年創業。2010年にはパーク種目係の設備を大幅に増やし、道内最大級とした。屋内にパーク系のボウルを二つ設置。屋外にストリートで用いられる構造物をそろえ、両方を練習できる環境を計画的に整えてきた。

   ブレイズにはハーフパイプの形になった基本練習用のミニランプもあり、初心者から熟練者までが使用できるようにしている。代表の西村さん(51)は「高さがあると恐怖心が倍増するが、ミニランプがあることで徐々に慣れていける。初心者が育ちやすい環境だと思う」と話す。

   ブレイズでは設備拡充と併せてスケートボードスクールを早期に開設。20年ほど前から「キッズクラブ」を運営していて、現在は苫小牧や近郊の小学生を中心に約30人が在籍。西村代表らインストラクター3人が指導に当たっている。

   クラブでは、「パーク」と「ストリート」の主要な2種目のトリックを教えている。

   スキルを高めるために、スケートボードに乗る前、身体能力向上のためにランニングや逆立ち、トランポリンを使ったトレーニングも行う。特にトランポリンは有効といい、西村さんは「(空中技の)エアー系のトリックを習得するのに生きてくる」との考えだ。

   キッズクラブに通い始めて3年目の丸田麻央(澄川小6年)は「分かりやすく教えてくれる。できる技も増えました」と話す。同クラブでは技術習得だけでなく「あいさつをする」「積極的にチャレンジする」といった行動ルールも設けている。

   サーフィン、スノーボード、そしてスケートボード―。「横乗り系」の手軽さや爽快な魅力にいち早く気付き、店からの情報発信と普及に努めてきた西村代表は「スケボーはスポーツとして認知されてきた。アスリートを育てるという気概で指導に当たっている」と語った。スクール生には「スケボーを通して諦めない心を養ってもらいたい」と期待する。

   競技者の裾野の広がりが、技術向上や新たな才能を生む。若きスケートボーダーたちが世界の頂を目指して、きょうも苫小牧で、それぞれの技のキレに磨きを掛けている。

  (連載は石井翔太が担当しました)

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