進境著しい男女児童 日本トップ目指し日々練習㊥

  • 特集, 苫小牧発、世界に 羽ばたくスケートボーダー
  • 2020年5月25日
トリックの精度を上げるために練習に打ち込む梅澤
トリックの精度を上げるために練習に打ち込む梅澤
全国規模の大会挑戦も視野に入る丸田
全国規模の大会挑戦も視野に入る丸田
空中でのトリックも練習中の渡邊
空中でのトリックも練習中の渡邊

  苫小牧のスケートボードシーンが活況だ。海外遠征に出るプロ級や全国的な大会・コンテストで活躍を見せるボーダーが現れる中、進境著しい男女児童も多い。日本のトップ層に仲間入りを果たすべく、日々練習に打ち込んでいる。

   梅澤颯(うめざわそう)(拓勇小4年)もそうした一人だ。2019年8月に札幌市であったキッズスケーターのFLAKEカップの道予選で優勝。今年1月には千葉県で開かれた本大会のチャンピオンシップでは入賞を逃したものの、大舞台での経験を着実に重ねてきた。

   決め技「トリック」のレベルの高さは、卓越した体の平衡感覚に裏打ちされている。スケートボード4輪のうち前か後ろの2個だけで接地し、バランスを取り続ける練習では最長4分38秒キープした。

   持ち前の素質を生かして、技のレパートリーを増やしつつあるが、滑走スピードが課題という。梅澤は「スピードが足りなくて、技が決まらないこともあった。滑り続けるための体力も高めたい」と話す。将来のオリンピック出場も目標の一つにしていて「小学生のうちにプロになって、早く海外の大会に挑戦したい」と夢は膨らむ。

   厚真町在住の渡邊創士(わたなべそうし)(上厚真小1年)はスケートボードに波乗りのサーフィンや冬季のスノーボードを加えた横乗り「三足のわらじ」を履く。まだ6歳ながら、ハーフパイプ状のランプやボウルの縁から飛び出して空中で技を繰り出すエアー系トリックもこなす。

   東京五輪でスケートボードが正式種目化した。自身も小学生からスケートボードに取り組んでいた父の啓人さん(37)は「『ちゃらちゃらしたイメージ』が払拭(ふっしょく)された。スポーツとして注目が集まってうれしい」と話す。

   1歳の頃から、家庭で身近にあったスケートボードに触れていたという渡邊。小学生として生徒や学生、社会人と交わるトップ層を目指して練習に励む。今年からは「キッズスケーターの聖地」とも呼ばれる神奈川県藤沢市鵠沼で開かれる予定のスケートボードとサーフィンの大会「サーフスケーターズ」に出場し、入賞を狙う。渡邊は「スケートボードとサーフィンのどちらもプロになりたい」と話す。

   市内でスケートボードスクールを運営するブレイズの西村千秋代表は「サーフィンの感覚はスケボーに生かせる。どちらの技術も同年代の選手と比較すれば、道内ではすでに一番かもしれない」と期待感を語った。

   女子選手でも丸田麻央(まるたまお)(澄川小6年)が、練習に打ち込む。丸田は同年代の開について「あまり意識しないようにしている」と話すが、オリンピック出場は「目標の中の一つ」と力強い。

   昨年8月に札幌市で開かれた北海道アマチュア選手権2019優勝者。女子カテゴリーへのエントリーは3人だけだったが、西村代表は「堂々と滑っているようだった。大会では強いメンタルも必要になる。徐々にではあるが、大舞台に対応できる精神力は付いてきた」と語る。丸田は「大会に出て、世界中のスケボーファンに自分のトリックを見てもらいたい」と大志を抱く。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。